コラム

【足関節の異常運動】過度の回内外、ヒールオフ、トゥドラッグ、反対側の伸び上がりについて

歩行分析において、正常とは違う異常運動を見極め、原因を追求することは大切です。

しかし、「正常とは何か違うけど、それが何なのか漠然としている」「足関節に異常がある場合、どのような歩行になるのか知りたい」などの悩みを抱える理学療法士さんは多いと思います。

漠然と見て歩行分析をするのは至難の業ですが、体の各関節ごとにどのような異常運動があるかを理解しておくと、歩行分析がしやすくなります。

そこで、この記事では、足関節の異常運動が歩行に与える影響についてご説明致します。

足関節の異常運動について

足関節の異常運動にはさまざまなものがあります。

代表的なものとして、「過度の回内・回外」「ヒールオフ」「ノーヒールオフ」「トゥドラッグ」「反対側の伸び上がり」などがみられることがあります。

これらの足関節の異常運動の説明と、その特徴を挙げますので、確認していきましょう。

足関節の異常運動「過度の回外」の歩行分析

まずはじめに、足関節の「過度の回外」とはどのような状態を示すのかをご説明します。

足関節の「過度の回外」は、距骨下の回外に踵骨の内反が伴った状態を示します。

歩行分析において、踵骨の内反と、距骨の下で踵骨が内側へ向いていることが、後方から観察できまた、足関節の「過度の回外」により、第一中足骨頭が床から浮く状態となります。

つまり、立位における前足部の内反が確認できるということです。

このとき、足の甲は持ち上がる傾向にあり、前足部は内転していることがあります。

過度の回外の原因

過度の回外の1つの原因は過度の筋活動です。

後脛骨筋、ヒラメ筋、長指屈筋、長母指屈筋、前脛骨筋という5つの筋が距骨下関節の内側で交差しており、距骨下で足の回外を制御します。

これらは前脛骨筋を除いてすべて足関節底屈筋です。

これらが過度に活動すると、底屈位と内反位のコンビネーションすなわち内反尖足が生じ、痙縮の強い片麻痺によくみられます。

過度の回外が歩行メカニズムに及ぼす影響

過度の回外が歩行メカニズムに及ぼす影響は以下のとおりです。

・荷重が移行されてくる際の不都合なポジション
・距骨下関節の柔軟性が損なわれることによる衝撃吸収能力の低下
・場合によっては、立脚の安定性低下:支持が足底の外側縁に集中し、足首を捻挫する危険が増大する
・遊脚中期で足を振り抜く際のクリアランスの減少

足関節の異常運動「過度の回内」の歩行分析

距骨下の過度の回内には踵骨の外反が伴っていることが、後方からよく観察できます。

荷重応答期で踵の外反が強まることが確認でき、同時に内側アーチは低下します。

その時、前足部の内側の領域だけが体重を支持します。

荷重応答期で第五中足骨より先に第一中足骨から床接地をすることも外反位を意味します。

骨構成が極端に崩れている場合は、横アーチの中央が床に接地します。

過度の回内の原因

過度の回内の原因は以下の通りです。

・後脛骨筋の筋力不足(荷重応答期と立脚中期)
・ヒラメ筋の筋力不足(立脚中期)
・外反変形
・底屈拘縮(立脚中期)
・膝関節あるいは股関節の異常運動
・腓骨筋群の過緊張(遊脚期)

過度の回内が歩行メカニズムに及ぼす影響

過度の回内が歩行のメカニズムに及ぼす影響は以下の通りです。

・過度の回内は下腿の内旋を生じさせ、足根間関節と膝関節を緩めます。それによって関節のすべての構造に負荷がかかってきます。

・安定した前足部を必要とするフォアフットロッカー機能が阻害されます。距骨下の回内によって前足部は緩んでいます。

・距腿関節の可動域制限がある場合には、制限された背屈を補償するために過度の回内となることがあります。

足関節の異常運動「ヒールオフ」の歩行分析

足関節の異常運動としてヒールオフがあります。

これは、立脚終期の踵離地のことを示します。

早すぎるヒールオフは、歩行分析においてさまざまな影響を及ぼします。

ヒールオフの原因

ヒールオフの原因は以下の通りです。

・過度の底屈に伴う二次的現象(荷重応答期と立脚中期)
・踵の疼痛
・過度の膝関節屈曲に伴う二次的現状(荷重応答期と立脚中期)

ヒールオフが歩行メカニズムに及ぼす影響

ヒールオフが歩行メカニズムに及ぼす影響は以下のとおりです。

・荷重支持面の縮小
・中足骨頭にかかる荷重圧の増大

足関節の異常運動「ノーヒールオフ」の歩行分析

足関節の異常運動としてノーヒールオフがあります。

これはつまり、踵離地がみられないという現象になります。

ノーヒールオフの原因

ノーヒールオフの原因は以下の通りです。

・下腿三頭筋の筋力不足
・足関節あるいは中足骨頭の疼痛
・過度の背屈に伴う二次的現象
・指関節の不適切な伸展に伴う二次的現象

ノーヒールオフが歩行メカニズムに及ぼす影響

ノーヒールオフが歩行メカニズムに及ぼす影響は以下の通りです。

フォアフットロッカー機能の阻害
・反対側の歩幅減少

足関節の異常運動「トゥドラッグ」の歩行分析

足関節の異常運動トゥドラッグとは、爪先が床を擦る現象です。

トゥドラッグにより歩行にさまざまな影響を及ぼします。

トゥドラッグの原因

トゥドラッグの原因は以下の通りです。

・股関節と膝関節の屈曲不足に伴う二次的現象
・過度の底屈に伴う二次的現象
・固有受容器の障害

トゥドラッグが歩行メカニズムに及ぼす影響

トゥドラッグが歩行メカニズムに及ぼす影響は以下の通りです。

・遊脚肢の前方への動きの阻害
・バランスが失われることも有り、転倒の危険が発生
・指の怪我をするリスク

足関節の異常運動「反対側の伸び上がり」の歩行分析

反対側の伸び上がりは、遊脚期にある観察肢の振り抜きが阻害されないように、反対側の過度の底屈によって身体を持ち上げる代償運動のことを示します。

反対側の伸び上がりの原因

反対側の伸び上がりの原因は以下の通りです。

・遊脚肢の股関節と膝関節の屈曲制限に対する代償運動
・遊脚肢の有効長の延長(たとえば遊脚期での過度の底屈)に対する代償運動

反対側の伸び上がりが歩行メカニズムに及ぼす影響

反対側の伸び上がりが歩行メカニズムに及ぼす影響は、立脚期で下腿三頭筋に対する筋力要求が高まることです。

〈参考文献〉

1)Kirsten Gotz-Neumann (2014) 観察による歩行分析 原著 第1版第14刷 医学書院

まとめ

足関節のさまざまな異常運動が歩行に与える影響についてご説明致しました。

足関節は、床から最も近く、歩行において大変重要な関節です。

今回お伝えさせていただいたように、足関節のコントロールは、中枢の膝や股関節にまで影響を及ぼす要となる関節であることを認識し、明日からの臨床に活かしていきましょう。

また、歩行分析において、異常運動を観察し評価を進めるために、まず健常歩行の機能ならびにメカニズムを正しく理解しなければなりません。

健常歩行における足関節については、歩行の各相における関節と筋肉の動き距骨下関節の角度と動き足関節と中足指節間関節の角度と動きにて、ご紹介していますので、こちらもご参照下さい。

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