コラム

運動失調性とは?歩行の特徴とリハビリ方法について紹介

「運動失調性の歩行とはどんな歩行なのか、特徴を知りたい」
「運動失調が出現する原因を知りたい」
「運動失調性の歩行に対するリハビリについて知りたい」

など、運動失調性の歩行について詳しく知りたい方の為に、特徴やリハビリ方法についてまとめました。

運動失調性は、体の一部の機能が障害される片麻痺や骨折などの病気とは異なり、全体的に日常生活動作への影響が大きいため、生活の質を低下させてしまう症状です。

運動失調性の歩行に対して、どのようなリハビリを行って改善させていけば良いのか、勉強していきましょう。

運動失調性とは

運動失調性とはどのような状態なのかを知るためには、”協調運動障害” を理解しておく必要があります。

協調運動障害とは、「運動を介して目的を達成するために必要な身体を構成する諸要素(関節や筋など)の調整能力の障害」です。¹⁾

つまり、関節や筋肉をうまく調整して運動を行うことができない障害と言えるでしょう。

その協調運動障害の1つに、運動失調性という症状があり、運動麻痺がないのが特徴です。

具体的には、「随意運動がうまくいかず運動の方向と程度が変わってしまう」「姿勢の異常が出現し、正常に姿勢を保持するのに必要な随意的あるいは反射的な筋の収縮が損なわれている」といった症状が出現します。¹⁾

わかりやすく説明するために、例を挙げます。

目の前のコップに手を伸ばす時、コップを見て手との距離を確認し、手をのばす動きの速さを調整し、どのくらいの力加減でコップを握ればよいか判断してコップを握ります。

このような動きがスムーズに行えるのは、人が協調運動を上手く行っているからなのです。

では、運動失調性により協調運動が上手く行えない場合、どうなるのか考えてみましょう。

まず、コップまで真っ直ぐに手を伸ばすことができません。

これは、筋肉の動きを上手く調整しながらバランスをとることが難しいからです。

また、動きのスピードがコントロールできないため、コップを倒してしまいます。

このように、麻痺などにより筋肉が発揮できない状態ではないにも関わらず、動きの正確さや滑らかさが欠けてしまう状態のことを示します。

1)後藤淳(2014) 運動失調に対するアプローチ 関西理学 14:1-9

運動失調性の原因

運動失調症の原因は、脳の障害部位により4つに分類されます。

小脳性の運動失調

1つ目は、小脳性の運動失調と呼ばれるものです。

これは、小脳自体の障害と小脳と大脳の間の連絡繊維を損傷する脳幹の障害が原因です。

症状の出る部位は、四肢と体幹です。

症状の内容としては、眼振(眼球が振るう状態)、ワイドベース歩行(足を左右方向に広く開いて歩く)、失調言語(声がスムーズに出せず断片的になる)、協調運動障害です。

脊髄性の運動失調

2つ目は、脊髄性の運動失調と呼ばれるものです。

これは、脊髄になんらかの障害が起こることが原因となります。

症状の出る部位は、主に下肢です。

深部感覚障害(どこの関節がどのくらいの角度で動いているのかという感覚が低下する)、ロンベルグサイン(目を閉じると身体の動揺が激しくなる状態)、鶏足(足を高く上げて床にバタバタと叩きつけるように歩く)といった症状が出現します。

前庭迷路性の運動失調

3つ目は、前庭迷路性の運動失調と呼ばれるものです。

これは、前庭迷路機能、つまり三半規管などの前庭器官の障害が原因となります。

症状の出る部位は、体幹のみです。

眼振、座位・立位・歩行時の平衡障害(平衡がとれずフラフラする)、ロンベルグサインが出現します。

大脳性の運動失調

4つ目は、大脳性の運動失調と呼ばれるものです。

これは、大脳の前頭葉という部分の障害と言われています。

症状の出る部位は、主に病巣と反対側の上下肢です。

症状の内容としては、小脳性の症状と似ています。

2)川平和美(2004) 標準理学療法学・作業療法学 神経内科学第2版 医学書院

運動失調性の歩行の特徴

運動失調性の歩行の特徴をご説明します。

運動失調性の歩行はさまざまで、前述した脳の障害部位によって異なります。

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小脳性の運動失調歩行

小脳性の運動失調性歩行は、小脳の部位によって体幹と四肢に分けられます。

小脳の真ん中あたりの虫部と呼ばれる部位を障害されると体幹に失調が生じます。

小脳の両端のどちらかが障害されると、同側の四肢に失調が生じます。

同側の四肢に失調が生じた場合は、患側方向へバランスを崩す特徴があります。

体幹運動失調(躯幹失調とも言う)の場合の歩行についてですが、「酩酊歩行あるいはよろめき歩行」を呈す場合と、「ワイドベース歩行」を呈す場合があります。

酩酊歩行あるいはよろめき歩行とは、体幹が動揺することにより、まっすぐに歩けなかったり、歩幅がバラバラだったりして、酔っぱらいような歩き方になります。

ワイドベース歩行とは、足の幅を広くして歩く歩行を示します。

これは、両足を体幹の幅より広く開くことで、体幹の動揺を支持基底面の範囲内に収めることにより、バランスをとっている代償歩行と言えます。

そのため、継ぎ足歩行やつま先立ち、片足立ちなどを行うと、運動失調が顕著に現れます。

前庭迷路性の運動失調歩行

次に、前庭迷路性の運動失調性歩行の特徴ですが、立ち上がり時と歩行時の不安定さが特徴的であり、閉眼すると症状が増悪します。

歩行は千鳥足となり、左右の足が交叉し転倒リスクが高く、眼振もあるため危険です。

脊髄性の運動失調歩行

脊髄性の運動失調歩行の特徴は、鶏足と呼ばれる歩き方です。

深部感覚障害があるため、足の関節がどの位置にあってどのくらいの角度で動いているのかを十分に把握することができません。

そのため、足を高く上げてバタバタと鶏のように歩くことにより、感覚を代償しようとしているのです。

また、感覚障害を代償するために、足を目で見て確認する必要があります。

そのため、閉眼するととても不安定になります。

リハビリ方法の種類

運動失調のリハビリですが、まず、日常生活上での環境設定アプローチが重要です。

前述したコップに手を伸ばす時の障害のような運動失調症状が、日常生活場面では多々観察され、怪我などの危険が伴うためです。

それでは、その他の代表的な運動失調に対するリハビリ方法を5種類ご紹介していきます。

1.フレンケル体操

この体操は、脊髄障害による感覚性の運動失調に対して行われるリハビリ方法です。

感覚障害の残存部位を利用して行うアプローチ方法であり、視覚のフィードバックと運動学習を基本としています。

つまり、感覚障害による運動失調を、視覚で代償的にフィードバックする能力を高めて、協調性を改善しようとするものです。

運動に集中して、繰り返しの訓練によって、正常な動作のパターンに近づけていくアプローチとなります。

2.重り負荷

企図振戦(目的物に向かうにつれて手や足の動揺が強くなる現象)が減少することを目的としたリハビリ方法になります。

歩行の場合、歩行器や杖、靴に重りをつけることによって、動揺が軽減します。

3.弾性緊縛帯

四肢の動揺が減少することを目的として行うリハビリ方法です。

緊縛部位として、上肢では肩関節、上腕、肘関節、下肢では腰部、股関節、大腿、膝関節などの中枢に近い部位を選択します。

4.運動学習

運動を初めから終わりまで一連のものとして遂行できない場合、運動をいくつかの動作に分けて行い、最終的に連続した運動として行うように、運動学習を繰り返します。

3)安東範明(2019)小脳性運動失調のリハビリテーション医療ー体幹・下肢についてー Jpn Rehabiri Med2019;56:101-104 

まとめ

運動失調について、その症状の特徴や原因、歩行、リハビリ方法についてご紹介しました。

運動失調は、麻痺や筋力低下などの機能障害があるわけでもないのに上手く身体を動かせない病気であり、日常生活にさまざまな影響を及ぼす症状であることがお分かり頂けたと思います。

それぞれの原因にあわせたリハビリを行い、運動失調の軽減を目指しましょう。

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