コラム

【歩行分析】下肢の関節可動域の特徴・測定方法、注意点まとめ

歩行分析をする際、下肢の関節可動域を理解しておくことは、とても大切です。

歩行分析において、各歩行周期でどの関節がどのくらい動くかを知っていると、異常歩行の原因追求がスムーズになります。

そのために、関節可動域評価を正確に把握しておくことは理学療法士として必須であり、臨床活動における基本中の基本です。

この記事では、歩行分析において特に重要である下肢の関節可動域の特徴、測定方法、注意点について、理学療法士として絶対に知っておくべき点をまとめました。

この記事を読んで内容を頭に入れておけば、歩行分析における下肢の関節可動域測定に関して困ることはありません。復習も兼ねて、しっかり頭にいれておきましょう。

関節可動域(ROM)とは?

関節可動域(ROM:range of motion of joint)とは、「関節がとりうる最大限の運動範囲」のことを示します。関節可動域の大きさは、関節構造の特徴や筋、腱、靭帯、皮膚などの関節外の構造における伸展の程度によって表されます。

関節構造や軟部組織の伸展性には個人差があり、肥満度、性、年齢も影響します。

関節可動域を測定する際は、関節の運動軸(軸心)に角度計の支点を当て、角度計の2本の腕木を下肢長軸に平行に置きます。固定されている骨の軸を「基本軸」、測定のために動かされる軸を「移動軸」と言います。

関節可動域には、自分で動かせる範囲である「自動」と、他人によって動かされうる範囲である「他動」があります。

関節可動域の測定は、まず「自動」を測定し、その後「他動」を測定します。臨床では、「他動」で表記するのが原則です。

測定の基準は基本肢位を0°とし、通常は5°ずつ測定します。

参考可動域は、健常者の関節可動域の平均であり、絶対的なものではありません。関節可動域は肢位によって異なるので、測定時の肢位に注意が必要です。

それぞれの関節の肢位や注意点に関しては、後ほど説明します。

下肢と上肢の違い

下肢と上肢の関節可動域にはどのような違いがあるでしょうか。

上肢の関節可動域は、肩関節が自由に上肢の骨の運動を最大限に可能とさせるために、支持性を犠牲にしているのが特徴です。

それに対して下肢は、体重の支持と歩行運動の2つの機能のために可動域よりも支持性を保つ構造になっているのが特徴です。

つまり、下肢は安定性、上肢は操作性を重視した特徴があると言えます。

股:屈曲と伸展の可動域と測定方法について

股関節屈曲の参考可動域:125°
股関節伸展の参考可動域:15°
基本軸:体幹と平行な線
移動軸:大腿骨(大転子と大腿骨外課の中心を結ぶ線)

特徴

股関節屈曲と伸展の可動域の特徴は、膝の肢位に依存することです。

屈曲の場合、膝関節伸展位ではハムストリングスの緊張で自動90°、他動120°です。

膝関節屈曲位では、ハムストリングスが弛緩しているので自動120°、他動140°まで可能となります。

伸展の場合、膝関節屈曲位では大腿直筋の影響により、自動約10°です。

膝関節伸展位では約20°可能となります。

測定肢位・注意点

股関節屈曲の測定は背臥位・膝屈曲位、股関節伸展の測定は腹臥位・膝伸展位で行います。

左右の股関節を同時に屈曲すると、腰椎が後弯して骨盤の運動が生じ、太ももの前面が体幹に触れるほど屈曲したように見えます。これは、骨盤の動きによる代償を伴う見かけの関節可動域です。

そのため測定時の注意点として、骨盤と脊柱を十分に固定することが必要です。

股:外転と内転の可動域と測定方法について

股関節外転の参考可動域:45°
股関節内転の参考可動域:20°
基本軸:両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線
移動軸:大腿中央線(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)

特徴

股関節の外転と内転の可動域の特徴は、骨盤の動きの関与です。

骨盤を固定しないで片側の股関節を外転すると、骨盤の傾きが加わって反対側の股関節も自動的に外転します。

この現象は30°以上の外転で起こり、外転90°では両側の股関節がそれぞれ45°ずつ外転していることになります。

測定肢位・注意点

股関節外転の測定は、背臥位で骨盤を固定し、下肢は外旋しないようにします。
股関節内転の測定は、反対側の下肢を屈曲挙上して、その下を通して内転させます。

股:外旋と内旋の可動域と測定方法について

股関節外旋の参考可動域:45°
股関節内旋の参考可動域:45°
基本軸:膝蓋骨より下ろした垂直線
移動軸:下腿中央線(膝蓋骨中央より足関節内外果中央を結ぶ線)

特徴

股関節伸展位よりも股関節屈曲位では、靭帯の緊張による制限が除かれるので、可動域は大きくなります。

測定肢位・注意点

股関節外旋と内旋の測定は、背臥位で股関節と膝関節を90°屈曲位にして行います。

骨盤の代償を少なくすることに注意が必要です。

膝:屈曲と伸展の可動域と測定方法について

膝関節屈曲の参考可動域:130°
膝関節伸展の参考可動域:0°
基本軸:大腿骨
移動軸:腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)

特徴

膝関節屈曲の可動域は股関節の肢位によって変化するのが特徴です。
股関節屈曲位で膝関節を自動で屈曲させると、一般的に140°屈曲可能です。
しかし、股関節伸展にで膝関節を自動で屈曲させると、その可動域は120°に制限されます。
これは大腿直筋が2関節筋であることが関与しています。

測定肢位・注意点

膝関節屈曲と伸展の測定は背臥位で行います。

屈曲は股関節屈曲位で行います。

足:屈曲と伸展の可動域と測定方法について

足関節屈曲(底屈)の参考可動域:45°
足関節伸展(背屈)の参考可動域:20°
基本軸:腓骨への垂直線
移動軸:第5中足骨

特徴

足関節底屈の主動作筋である腓腹筋は2関節筋であり、膝関節屈曲の作用もあります。

膝関節完全伸展位では、腓腹筋が受動的に伸長されるため、足関節伸展の角度が少なくなります。

測定肢位・注意点

足関節屈曲と伸展の測定は、膝関節屈曲位で行います。

足部:外がえしと内がえしの可動域と測定方法について

足部外がえし(外反)の参考可動域:20°
足部内がえし(内反)の参考可動域:30°
基本軸:下腿軸への垂直線
移動軸:足底面

特徴

外がえしは回内・外転・背屈が、内がえしは回外・内転・底屈が複合した運動です。

測定肢位・注意点

足部外がえしと内がえしの測定は、膝関節屈曲位で行います。

足部:外転と内転の可動域と測定方法について

足部外転の参考可動域:10°
足部内転の参考可動域:20°
基本軸:第1、第2中足骨の間の中央線
移動軸:同上

特徴

足部の外転と内転は、おもに横足根関節(ショパール関節)で行われます。

測定肢位・注意点

足部外転と内転の測定は、足底で足の外縁または内縁で行うこともあります。

母趾:屈曲と伸展の可動域と測定方法について

母趾(MTP)屈曲の参考可動域:35°
母趾(MTP)伸展の参考可動域:60°
基本軸:第1中足骨
移動軸:第1基節骨

特徴

手指と比べて足趾(母趾)では、対立運動や指先の精巧な運動は退化しています。

測定肢位・注意点

測定肢位の規定は特にありません。

まとめ

下肢の関節可動域の特徴・測定方法、注意点についてご紹介させて頂きました。

基本中の基本である関節可動域(ROM)測定を正確に頭に入れておくことは、理学療法士として必須です。

また、各歩行周期における関節可動域を把握し、歩行分析に活かすことも必要です。

早速、明日からの臨床活動に活かしましょう。

<参考文献>
(1)中村隆一・齋藤宏・長崎浩(2005)基礎運動学 第6版 医歯薬出版株式会社
(2)石川朗・種村留美(2012)15レクチャーシリーズ 理学療法・作業療法テキスト 運動学 初版第1刷 中山書店

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