【歩行分析】距骨下関節の角度と動きを歩行周期別に紹介

歩行分析において、関節の角度変化を観察だけで把握することは困難です。

しかし、正常歩行における関節角度や動きがどのような仕組みなのかを理解しておくことで、観察がしやすくなり、歩行分析力を高めることができます。

歩行分析における関節の角度と動きについて、「運動の範囲」「発生するモーメント」「筋の活動」「機能的意義」という観察すべき4項目の重要性を説明させて頂きました。

この記事では、さらに深堀りして、歩行における「距骨下関節」の角度と動きについてご紹介させて頂きます。

関節の角度と動きを理解する上で、下肢の関節についての基礎は固めておきましょう。

また、歩行の各相における関節と筋肉の動きを一読後、この記事を読み進めて頂くことを推奨します。

歩行における「距骨下関節」の働き

距骨下関節(距踵関節)は、上方の距骨と下方の踵骨の間の3つの角度が異なる関節面から成り立っています。

この3つの関節面が一緒になって一軸性の動きが可能になり、その動きは3つのすべての面で観察できます。

荷重を支持する距骨下関節の機能は、特に足が床に安定して接地され支持面を維持している間、身体重量によって生じる回転力を受け止めることに大きく関与しています。

各歩行周期別の「距骨下関節」の角度と動き

歩行周期の各相において、「距骨下関節」にどのような角度と動きが生じているのか、その詳細をご説明していきます。

初期接地と荷重応答期(歩行周期の0~12%)

【運動の範囲】
・踵骨は5°外反します。
・距骨下関節は回内します。

【発生するモーメント】

脛骨に対し踵骨が外側に位置していることと、荷重線と踵骨ー床接触点がずれていることにより、外反方向のモーメントが生じます。

【筋の活動】
・前脛骨筋と後脛骨筋(回外筋)の遠心性収縮が、距骨下で起こる回内を制御します。
・回内の動きの終了とともに、前脛骨筋の活動は終わります。

後脛骨筋は荷重の受け継ぎと単脚支持の間ずっと活動します。

【機能的意義】
・距骨下で起こる回内は、脚に加わる衝撃の緩衝をサポートします。
・荷重の受け継ぎが起こる間、距骨下の回内は下腿を内旋させ、足関節の回旋方向の負荷が軽減されます。
・同時に下腿の内旋によって膝関節が緩み、荷重応答期で必要な膝関節屈曲が起こりやすくなります。
・距骨下で起こる回内は横足根関節を緩め、足の内部の衝撃緩衝を可能にし、床面への動的な適合機能をもたらします。

立脚中期と立脚終期(歩行周期の12%~50%)

【運動の範囲】
・外反が5°から2°に減少します。
・荷重応答期の終わりに、外反位になった距骨下関節は、立脚中期で外反角度が減少し、立脚後期の初めはわずかになります。
・立脚終期の後半で外反は約2°になります。

【発生するモーメント】
・外反方向のモーメントは立脚中期で減少します。
・踵離れが開始される立脚終期で、水平面において斜めになっている中足指節間関節によって身体重心が外側へ移動することと、ヒラメ筋の強い緊張力(回外に関与)によって、内反方向のモーメントが発生します。

【筋の活動】
・後脛骨筋、ヒラメ筋、長腓骨筋、短腓骨筋が単脚支持期を通して活動します。
・立脚終期では、距骨下関節の回外に関与する4つ(後脛骨筋、ヒラメ筋、長指屈筋、長母指屈筋)のすべての筋が最大に活動します。
・後脛骨筋、ヒラメ筋は初めに外反を制御するために遠心性収縮をします。その後、距骨下関節(踵骨)を回外(内反)方向へ動かすために求心性収縮をします。
・長腓骨筋と短腓骨筋の活動は距骨下関節と足の外側方向の安定性に貢献します。

【機能的意義】
・荷重が前足部で支持されている立脚終期における単脚支持では、足根間関節による最大限の安定が必要となります。
・立脚終期における踵骨の外反の減少は、横足根関節の安定性を改善します。そして前足部は安定した「てこ」になります。

遊脚期(歩行周期の50%~100%)

【運動の範囲】
・前遊脚期で距骨下関節は外反2°の状態からニュートラル・ゼロ・ポジションになり、初期接地までニュートラル・ゼロ・ポジションのままです。
・遊脚終期で距骨下関節が軽度回外する人もいます。

【発生するモーメント】
前遊脚期で内反方向のモーメントはゼロになり、遊脚期を通してほぼこの状態が続きます。

【筋の活動】
前脛骨筋群は遊脚期を通して活動します。

【機能的意義】
足が床から離れます。
距腿関節と距骨下関節は踵接地のための姿勢をとります。

足部機能は歩行にどう適応しているのか

足部の卓越した機能はその適応性にあります。

衝撃を吸収するときにはやわらかく、単脚支持と前方駆動のためには硬くなります。

機能的な必要性に応じて、足部の筋が関節の状態をサポートし、運動性と安定性の状態をコントロールしているのです。

〈参考文献〉
1)Kirsten Gotz-Neumann (2014) 観察による歩行分析 原著 第1版第14刷 医学書院

まとめ

歩行中の「距骨下関節」の角度と動きについてご紹介させて頂きました。

歩行中の関節の角度と動きの理解は、歩行分析において大切です。

今回は「距骨下関節」について取り上げましたが、他にも歩行において着目すべき関節「足関節と中足指節間関節」「膝関節」「股関節と骨盤」「体幹」「」があります。

是非、参考にしてみてください。

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