コラム

トレッドミルを利用した歩行分析について、平地歩行との違い

トレッドミルは、健常者のトレーニングや障害者のリハビリテーションの機器として開発され、スポーツクラブなどのトレーニングジムや病院などの医療機関で広く使われています。

運動療法や介護予防目的だけではなく、心肺機能の評価などさまざまな場面で活用されています。

トレッドミルを利用した歩行分析に関する研究は多く、平地歩行との違いや、トレッドミル歩行における床反力、重心動揺や筋電図についてさまざまな報告があります。

この記事では、トレッドミルを利用した歩行分析のメリットや使用の注意点、平地歩行との違いについてご紹介致します。

トレッドミルを利用した歩行分析とは

トレッドミルとは、ベルトコンベア状の踏み台をモーターの力で動かし、歩行速度が調節できるようになっている機械のことを指します。

トレッドミルにおける歩行分析では、傾斜調節、走行距離、経過時間、平均速度、消費カロリー、歩数・歩幅・ピッチ、心拍などの機能を表示することができます。

ちなみに、トレッドミルの歴史を辿ってみると、1817年、刑務所に収監されている犯罪者の矯正のために導入したことが始まりだそうです。

トレッドミルを利用した歩行分析のメリット

トレッドミルを利用した歩行分析は、省スペース、定常的歩行速度・歩行距離の設定、多数歩計測が可能、環境因子の制御・他計測の併用が容易など、多くのメリットがあります。

つまり、場所をとらず、ある程度歩行を調節することができ、雨風気にせず歩行することができるなど、大変便利であると言えます。

トレッドミルを利用した歩行分析の注意点

トレッドミル歩行は受動的であり、運動中の視覚情報との矛盾があります。

そのため、運動中の姿勢維持が難しく、運動者が運動後トレッドミルを降りた際に、平衡感覚を失って転倒する危険があり、子供や高齢者に対しての使用は注意が必要となります。

トレッドミルと平地歩行における歩行分析の違い

トレッドミル歩行と平地歩行の歩行メカニズムはほぼ同一という報告があります。

しかし、全く同じというわけではありません。

ここでは、一般的な特徴、知覚、床反力の観点から、トレッドミル歩行と平地歩行の違いについてご紹介します。

一般的な特徴の違い

「通常歩行では自分自身の移動に合わせて周囲の風景も動いているのに対し、トレッドミル歩行では、自己は運動しているが周囲の風景は固定していて動かない」
「通常歩行とトレッドミル歩行では適応の程度に差がある」
「歩行は最も高度に自動化した全身運動だが、トレッドミル歩行では自動化の程度として低くなる」

というようなことが挙げられ、体性感覚と視覚情報の違いが生じることによる転倒は、上述した注意点としておさえておく必要があると言えます。

速度感覚の違い

臨床において、平地歩行には支障がないのにトレッドミルでは上手に歩けない人を経験したことはあると思います。

この現象に関して、平地歩行とトレッドミル歩行における主観的な歩行速度の違いの特性を調べた研究によると、主観的には同じ程度の速度に感じられていても、客観的には違いがみられるということが判明しています。

他にも、平地歩行の速度を基準に同じ速度でトレッドミル歩行を行うと、1.5倍の速さに感じられるという報告もあります。

床反力の違い

平地歩行とトレッドミル歩行における床反力の違いですが、トレッドミル歩行の特徴として、平地歩行よりも歩幅が狭くなり、前傾姿勢を呈するという報告があります。

一方、トレッドミル歩行と平地歩行の床反力波形を比較した結果、両歩行の床反力波形は類似性が高く、歩行時における波形パターンは同じであると報告されています。

また、床反力の各ピーク値の比較では、制動期における前後分力、駆動期における垂直分で、トレッドミル歩行の方が低値を示したことを報告しています。

これは、トレッドミル歩行が動くベルトの上を歩行するという特殊な環境であることが影響していると考えられており、ベルトの不安定要因がトレッドミル歩行に影響を及ぼしたものと考えられています。

つまり、床反力のパターンに違いはありませんが、床反力の強さで言えばトレッドミルのほうが弱く、トレッドミルのベルトの不安定さが影響していることが言えます。

まとめ

トレッドミルを利用した歩行分析のメリットや使用の注意点、平地歩行との違いについてご紹介させて頂きました。

トレッドミルを利用した歩行分析のメリットや、平地歩行と大きな相違がないことを考えると、臨床での使用に有用であることが言えるでしょう。

この記事では、トレッドミルを利用した歩行分析までのご紹介でしたが、トレッドミルを歩行訓練に利用することの有用性についてもご紹介させて頂きます。

トレッドミルを利用した歩行訓練の効果、使い方、対象者についても理解を深め、臨床におけるトレッドミルの使用を実践していきましょう。

〈参考文献〉
1)森彩子.健常高齢者における平地歩行とトレッドミル歩行の歩行速度変化について.理学療法学33(5):783-786,2018
2)岡田誠.トレッドミル歩行と平地歩行における床反力の比較.理学療法学第29巻第6号209~217.2002
3)久保晃.トレッドミル歩行速度の知覚について.運動生理6(1):33-38.1991
4)船曳繁之.平地歩行模擬機能を有するトレッドミル.IEEJ Trans,EIS,Vol.124,No.10.2004

執筆者紹介

AYUMIEYE事務局

AYUMI EYEとは、早稲田エルダリーヘルス事業団が開発した 最先端の歩行能力解析デバイスです。

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