TKA術後の歩行の特徴とリハビリについて

変形性膝関節症や関節リウマチなどの症状や病気を抱えた方の歩行改善の強い味方になる全人工膝関節置換術(TKA)。

2019年現在の調査では、TKA患者は増加傾向にあり、対象患者の年齢層が 70〜80代に多く居ます。また、TKA件数は年々増加し、現在では年間10万件に上ります。

変形性膝関節症(OA)患者は約2,530 万人、関節リウマチの患者数は60〜100万人と推定されており、これからもますますTKAの需要が高まります。

今回は、歩行改善に効果的なTKAについて、術後の歩行の特徴とリハビリの重要性についてご説明します。

最後までお読みいただき、TKA術後の歩行改善のリハビリに役立ててください。

全人工膝関節置換術(TKA)とは?

次に、TKAの手術対象になる変形性膝関節症や関節リウマチについて詳しく説明します。

また、TKAの手術内容や目的ついてもご説明します。

TKAの手術対象は?

人工膝関節置換術(TKA)は、変形性膝関節症や関節リウマチにより変形した膝関節が対象になります。

具体的には、膝関節の軟骨がすり減ってくると痛みが強くなり関節自体の動きが悪くなることで、やがて歩きにくくなります。

その際、膝関節の軟骨の磨耗や骨の変形が激しく保存療法をしても歩くことが困難で日常生活に支障をきたす人が、TKAの手術対象になります。

TKAの目的

TKAは、主に次のような目的があります。

  • ・膝の強い痛みを軽減させる
  • ・歩行能力を大幅に改善させる
  • ・生活の質(QOL)の改善

TKAは、他の治療法と比べて痛みを取る効果に優れています。膝関節周りの筋肉の緊張を緩めていくことで、痛みや引っ掛かりを取り除いていきます。

また、痛みとともにスムーズな膝の曲げ伸ばし運動を可能にします。

痛みの大幅な軽減と関節の可動域拡大により歩行が楽になり、外出や長時間の歩行が安心してできるようになります。

手術について

TKA手術全体の工程は、膝関節の骨や軟骨を切除して、大腿骨と脛骨それぞれの表面に金属でできた人工関節を被せます。

手術時間は、通常1〜2時間程度です。

TKAの手術の順番は、まず膝の皮膚を15〜20㎝ほど切開して膝蓋骨の内側から関節を開きます。

次に、疾患のある膝関節の骨や軟骨の損傷面を取り除いて、最後に金属やポリエチレンなどの人工関節と置き換えて手術終了です。

なお、手術の合併症として感染や血栓症などのリスクも考えられるため、手術前に専門の医師と良く相談することが大切です。

TKA術後の経過について

一般的に、TAKA術後の入院期間は約2週間〜1ヵ月程度です。

入院中には、日常生活動作に必要な入浴やトイレ動作などのリハビリを行います。

階段昇降や立ち上がり動作は、人工膝関節に負担がかかるため、段階的に進めていきます。

退院後は定期的に経過観察を受けていき、多くの患者さんは術後6週間以内に杖を使って歩くことが可能です。

つらかった膝の痛みや強ばりも次第に解消されていくため、日常的な動作の多くができるようになります。

なお、TKAは長い年月が経過すると緩みが生じて、再置換の手術が必要なケースもあります。

TKA術後の歩行の特徴について

急性期病院退院時のTKA後の歩行の特徴は,立脚期での膝関節屈曲角度の増加、および遊脚期での膝関節運動範囲の減少が見られます。

遊脚期の膝関節運動範囲は、術後の膝関節屈曲可動域と関連しています。

そのため、急性期病院退院時では膝関節屈曲可動域の獲得が、TKA後の歩容改善に重要であると示唆されています。また、術後全荷重による歩行が可能になった時期においても、スムーズな膝の関節運動が見られないことがあります。

TKA術後にスムーズな膝の関節運動が見られない患者は、立脚初期から立脚後期にかけて体幹の動揺が増幅しています。

その結果、歩行時における前方への推進力が減少して速度が低下していると推察されます。

さらに、TKAに至る変形性膝関節症の症例では、術前から膝関節の疼痛や変形により、 下腿三頭筋の活動性が低下していることが知られています。

下腿三頭筋の活動性の低下は、歩行速度や反対側の歩幅縮小といった問題の原因となります。

リハビリでは、立脚初期から立脚後期にかけての体幹の安定を図り、重ねて下腿三頭筋の活動を高めて推進力を向上することが求められます。

まとめ

今回は「TKA術後の歩行の特徴とリハビリについて」ご説明しました。

TKAは、変形性膝関節症や関節リウマチが原因で悩む人にとって、歩行改善や疼痛改善の大きな味方になりますが、特に術後のリハビリは重要です。

術後は、症状の経過を見ながら段階的に日常動作を行い、体のバランスを安定していくことが求められます。

そのためには、リハビリ中も常に歩行姿勢のブレや動作など、現状の歩行状態を正確に知る必要があります。

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参考資料:
理学療法の臨床と研究 第28号 2019年 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理
島田昇

TKA術後早期における遊脚期の膝関節運動範囲に関連する因子の検討
理学療法

TKA術後の歩行時に見られる前額面上の身体動揺とDouble Knee Actionの関連性
古賀 朋子・田鹿 慎二

全人工膝関節置換術後の歩行障害に対する後進歩行練習の即時効果~加速度計を用いた検討~
小池一成・大久保秀雄・山口真人・宮下敏紀・工藤慎太郎

リウマチについて参考資料:
内科からみたリウマチの現状
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 所長 山中寿


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歩行時のバランスの重要性と改善方法 著者:佐藤洋平(EHA監修)
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