「ふらつき」とは、平衡感覚を失って足取りがおぼつかなくなる状態のことを言い、ふらつき歩行は転倒など大きなリスクを伴います。
乗り物酔いや二日酔い、体調不良のような一過性のふらつきは、特に気にしなければならないような症状ではありません。
しかし、ふらつきが頻繁に起こる場合は、さまざまな原因が考えられるため、注意が必要です。
今回は、ふらつき歩行の原因疾患やふらつきのリスク因子が多くなる高齢者の特徴についてもご説明します。
ぜひ、こちらの記事を参考にしていただき、ふらつき歩行の改善にお役立てください。
ふらつきの原因疾患とは?
慢性的なふらつき歩行には、下記のような原因が挙げられます。
- ・脳の病気
- ・筋肉の病気
- ・頚椎症性脊髄症
それぞれの特徴について、説明していきます。
脳の病気
脳の病気で起こるふらつき歩行には、下記のような病名や特徴があります。
- ・脳梗塞の後遺症
- ・パーキンソン病
- ・小脳の病気
脳梗塞の後遺症
脳梗塞後遺症としてのめまいの特徴は、ふらついてしまう浮動性と、目が回ってし まう回転性の2種類があります。
このうち、浮動性のものが多く、物が二重に見えることでふらつき歩行になります。
パーキンソン病
パーキンソン病の約半数以上の人が、ふらつきやめまいといった起立性低血圧の症状が現れます。
また、動作がゆっくりとのろくなる特徴があり、動きの幅も⼩さく、ふらつき歩行が見られます。
小脳の病気
小脳の病気のうち、脊髄小脳変性症や小脳萎縮症といった進行が遅い病気では、起立やふらつき歩行が生じます。
筋肉の病気
筋肉の病気では、下記のようなふらつき歩行に関係する病気があります。
- ・重症筋無力症
- ・多発性筋炎
重症筋無力症
重症筋無力症は、筋肉の力が弱くなる病気です。
厚生省の特定疾患に指定されており、歩く動作が不安定になり、ふらつき歩行が起こります。
多発性筋炎
多発性筋炎は、筋肉の炎症により、力が入りにくくなったり、痛んだりする病気です。
下半身の筋力低下により、階段を昇るのが困難になったり、立った際のふらつきなどの症状がでます。
頚椎症性脊髄症
頚椎症性脊髄症は、脊髄が圧迫されることで手足の障害が発生した状態を言います。
歩くときにふらついたり、走りづらくなったり、階段の乗り降りが不安定になったりします。
一般的に、症状は時間をかけてゆっくり出現し、悪化することが多い傾向です。
また、転倒や交通事故などをきっかけに起こったり、急激に悪化したりすることもあります。
高齢者に多い平衡障害によるふらつき
高齢者の平衡障害が原因で起こるふらつき歩行での転倒や転落事故は、社会的な問題にもなっています。
平衡障害が起こるのは、主に以下のような原因が考えられます。
- ・内耳の平衡器官
- ・視力、筋肉などの機能低下
- ・認知能力の低下
- ・睡眠障害
加齢に伴う筋量・筋力の変化のイメージ図
内耳の平衡器官
内耳には三半規管や耳石、蝸牛という器官があり、三半規管や耳石は、身体の平衡を保つ役割をしています。
また、蝸牛の細胞は、音を感知して脳に伝えます。
平衡を保つ役割がある内耳に異常が起こると、平衡感覚に乱れが生じ、ふらつきを感じます。
視力の機能低下
加齢性の視力低下は、視覚による情報も低くなるため、ふらつきやすくなります。
特に、高齢者の方に多いのが、いつの間にか左右の度が合っていない老眼鏡をしていることがあり、注意が必要です。
また、視野の左右差が出てくることも、ふらつきに関係していると言えます。
認知能力の低下
脳の加齢変化が原因で、バランスの認知能力の低下が起こります。
認知能力の低下は、主にもの忘れをしやすい、集中力が続かないなどが起こります。
また、同時に判断力も落ちるため、歩く動作がおぼつかなくなります。
睡眠障害
一般的に、睡眠不足が続くと、脳に血液が回りにくくなります。
ふらつきは一時的な血流不足でも起こるため、睡眠不足によって血流不足に陥ると、ふらつくことがあります。
高齢者特有のふらつき歩行の原因
高齢者には、病気や平衡障害以外にも下記のようなふらつき歩行の原因があります。
- ・「サルコペニア」などの足の筋力低下
- ・骨粗鬆症で骨が脆くなる
- ・変形性股関節症や変形性膝関節症の影響
「サルコペニア」などの足の筋力低下
加齢により、足の筋力が衰えてくると、ふらつきやすくなります。
また、加齢による筋肉量の減少や筋力の低下で起こる「サルコペニア」に注意が必要です。
サルコペニアは国際疾病に分類されており、日常生活の動作に影響が現れる病気です。
歩行も不安定になるため、転倒しやすくなります。
なお、65歳以上の約15%が、サルコペニアに該当すると言われています。
骨粗鬆症で骨が脆くなる
加齢に伴い、骨粗鬆症で脊椎の形がつぶれてきたり、背中が曲がってくると、身体の重心が崩れてしまい、ふらつきやすくなります。
また、骨が弱くなった状態で転ぶと、脊椎圧迫骨折や大腿骨圧迫骨折を起こす危険性もあります。
骨粗鬆症は、高齢女性の発症リスクが高い傾向で、閉経後に骨芽細胞を活発にする女性ホルモンである「エストロゲン」が激減するためと言われています。
変形性股関節症や変形性膝関節症の影響
変形性股関節症や変形性膝関節症は足が真っ直ぐ伸びにくくなります。
すると、前傾姿勢になったり、身体の重心が後ろに残りやすくなるため、ふらつきやすくなります。
なお、50歳以上で変形性膝関節症にかかっている人は約2,400万人、痛みを有する患者は約820万人で、国民の約6人に1人が該当します。
まとめ
今回は「ふらつき歩行の原因疾患と高齢者のふらつく特徴とは?」について説明しました。
ふらつきの原因は疾患だけでなく、骨や筋肉、耳や認知機能など様々な影響が考えられます。
通常、歩行時のふらつきを細かく把握することは難しいのが現状です。
しかし、歩行時のふらつきが改善した後に、歩行速度が向上することも認められています。
そのため、疾患や症状、高齢者に多いふらつきの特徴などをデータで細かく分析しながらリハビリを続けていくことは、効果的です。
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(参考資料)
1)高齢者に特有の“めまい”“ふらつき”を専門に治療。順天堂東京江東高齢者医療センター「めまいリハビリ入院」プログラム
2)脳卒中患者のふらつきに対する歩行観察
3)歩くときにふらつく
4)サルコペニアとは
5)変形性股関節症(OA)
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