歩行解析でADLの低下を予測できる!?

リハビリや介護の現場でADLをいう単語はよく登場します。

ADLとは日常生活を送るために最低限必要な動作をさし、高齢者や身体障害者が自宅で生活できるのか、その場合はどのくらいの介護・援助が必要なのかなどを推し量る指標なります。

今回はADLを予測する上で気にしておきたい歩行の様子についてご説明します。

ADLとは?

ADLとは、Activities of Daily Livingの頭文字をとったものです。

日本語に訳すと、日常生活動作となります。

ADLには日常生活を送るために最低限必要とされる「起居動作(起き上がり動作)、移乗(乗り移り)・移動(歩行など)・食事・更衣(服を着替えること)・排泄(おしっこ・うんち)・入浴・整容(ひげや髪などを整えること)」が含まれます。

加齢やケガ、病気によってADLが障害されると生活の質QOL:Quality of Life)が低下するため、日頃からADLが障害されないように予防することが大事です。

図 高齢者のQOL

筋力とADLの関係

加齢や病気による筋力や運動機能の低下は徐々に生じます。

知らないうちにADLが低下する危機にさらされていると言ってもいいでしょう。

だれしも簡単にADLの低下を予測できたらいいなと考えることでしょう。

筋力とADLの低下についていくつか報告があります。

池添は76歳未満の高齢者の握力値はADLとの関係性が低いことを報告しています1)が、77歳以上の高齢者では握力低下が将来のADL低下発生を予測する2)という報告も存在します。

握力は全身の筋力をあらわす指標として用いられることが多いですが、握力よりも膝伸展筋力の方が高齢者の包括的機能を反映していることが示唆される1)としています。

これらの報告から、筋力とADLには関係があり今後のADLを予測するうえで下肢の筋力の測定が必要といえるでしょう。

歩行能力とADLの関係

では今回のテーマの歩行とADLの関係についてはどのような報告があるのでしょうか。

歩行とADLについて検討する際に最も多く用いられるのが、歩行速度です。

Heilandらは障害をもたない60歳以上の高齢者を対象に6年間の追跡調査を実施し、歩行速度が0.8 m/秒よりも遅い人はADL低下が生じやすい3)と報告しました。

同様に、Carrièreら4)やOstirら5)も歩行速度が遅いことによる将来のADL低下を予測しており、その基準は0.78 m/秒、0.81 m/秒と報告されています。

将来のADL低下につながるおそれがある歩行速度は0.8 m/秒前後のようです。

具体的にどれくらいのスピードなのか、一般的に、歩行者用青信号の時間は歩行速度を1m/秒として計算しています。

つまり、歩行者用信号が青になった瞬間に渡り始め、間に合わないようであれば歩行速度が1m/秒より遅く、0.8 m/秒に近づいており歩行速度が低下していると考えることができます。

高齢者の歩行におけるADL低下のリスク因子

図 歩行時における「上下・側方の重心移動」と「各関節の運動」

池添は、高齢者においては歩行速度だけでなく、歩行周期や歩幅の変動性が大きくなり、これらの増加によって、高齢者における転倒発生リスクが高くなると報告しています。

転倒は、それ自体がケガや骨折などを招き、ADLを著しく低下させる恐れがあります。

歩行周期や歩幅の変動性が大きいというのは、規則的もしくはリズミカルでない歩行左右の歩幅が異なる状態をさします。

歩行速度だけではなく、これらにも注意したいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は歩行とADL低下の予測、リスク因子について説明しました。

ADLの低下は筋力や歩行能力の低下によってある程度予測できます

ADLの低下はQOL低下につながるため防がなければいけません。

是非、歩行者用青信号と勝負し、ご自身の歩行速度を確認されてみてください。

ただ、リハビリや介護の現場ではより正確に把握することが必要です。

AYUMI EYEは腰にベルトで装着し、10m歩くだけで歩行速度や歩幅、歩行時のバランスを測ることができます。

ADLの低下を未然に防ぐための評価ツールとしてAYUMI EYEを導入してみてはいかがでしょうか。

 

1)池添.加齢に伴う運動機能の変化.理学療法学48(4)446-452.2021
2)Glampaoli, et al. Hand-grip strenrth predicts incident disability in non-disabled older men. Age Aging.1999:28(3):283-288
3)Heiland, et al. Association of mobility limitations with incident disability among older adults: a population-based study. Age Ageing. 2016 Nov;45(6):812-819
4)Carrière, et al. Hierarchical components of physical frailty predicted incidence of dependency in a cohort of elderly women. J Clin Epidemiol. 2005 Nov;58(11):1180-7
5)Ostir, et al. Lower body functioning as a predictor of subsequent disability among older Mexican Americans. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 1998 Nov;53(6):M491-5.
6)リハ辞典+ 歩行時における「上下・側方の重心移動」と「各関節の運動」


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AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。

バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。

測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。

簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。

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歩行時のバランスの重要性と改善方法 著者:佐藤洋平(EHA監修)
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