コラム

【歩行分析】足関節と中足指節間関節の角度と動きを徹底紹介

歩行分析において、関節の角度変化を観察だけで把握することは困難です。

しかし、正常歩行における関節角度や動きがどのような仕組みなのかを理解しておくことで、観察がしやすくなり、歩行分析力を高めることができます。

この記事では、歩行における「足関節と中足指節間関節」の角度と動きについてご紹介させて頂きます。

関節の角度と動きを理解する上で、下肢の関節についての基礎歩行の各相における関節と筋肉の動きを一読後、この記事を読み進めて頂くことを推奨します。

歩行における「足関節と中足指節間関節」の働き

歩行における足関節と中足指節間関節の働きとして最も重要なのは、「蹴り出し力」です。

そして、そのポイントとなるのが「足底腱膜」です。

足底腱膜は踵骨から指節骨まで伸びていて、筋繊維が指の内在屈筋と同化している平らな組織(腱)です。

踵離地により踵が地面から離れて前足部に体重が移行し、中足指節間関節が背屈する時に、足底腱膜が緊張して後足部、中足部の安定性が図られ、蹴り出しの力を効率的に地面に伝えることができます。

各歩行周期別の「足関節と中足指節間関節」

歩行周期の各相において、「足関節と中足指節間関節」にどのような角度と動きが生じているのか、その詳細を1つずつご説明していきます。

初期接地(歩行周期の0%)

【運動の範囲】
・足関節はニュートラル・ゼロ・ポジションです。
・中足指節間関節は0~25°伸展します。

【発生するモーメント】
底屈方向のモーメントが発生します。
・床反力ベクトルが足関節の後方を通ります。
・踵と床の接点は足関節の後方です。

【筋活動】
背屈筋群である前脛骨筋と長指伸筋および長母指伸筋が活動し、荷重応答期のための足部の準備をします。

【機能的意義】
荷重応答期でヒールロッカー機能(※)を果たすための足部のポジショニングです。

荷重応答期(歩行周期の0~12%)

【運動の範囲】
・足関節でニュートラル・ゼロ・ポジションから5°底屈位までの動きが素早く起こります。
・中足指節間関節は、衝撃吸収期の終わりに25°伸展位からニュートラル・ゼロ・ポジションになります。

【発生するモーメント】
床反力ベクトルが足関節後方で踵の範囲を通過し、底屈方向のモーメントが生じます。

このモーメントは、荷重応答期が終わりに近づくにつれて小さくなります。

【筋活動】
・動き始めは、受動的でわずかな底屈です。
・前脛骨筋群が遠心性収縮し、素早い底屈にブレーキをかけ、足底接地の衝撃を和らげます。
・この時点で、前脛骨筋群は最大に活動します。
・腓腹筋とヒラメ筋が衝撃吸収期の終わりに活動し、下腿の前方への動きを制御します。

【機能的意義】
ヒールロッカーの機能(※)を引き起こします。
前脛骨筋群は足底接地の衝撃を和らげ、下腿を前方へ引き寄せます。それにより前方への勢いと膝関節屈曲が誘発されます。

※ヒールロッカー機能とは
荷重の受け継ぎの際、前方へ落ちていく身体重量によって生じる勢いを受け止める機能のことを示します。脚全体が前方へ移動することを可能にする大切な機能です。

立脚中期(歩行周期の12~31%)

【運動の範囲】
足関節は5°底屈位から5°背屈位まで動きます。
中足指節間関節はニュートラル・ゼロ・ポジションです。

【発生するモーメント】
遊脚肢の前方への動きと身体重量の前方からの勢いによって、床反力ベクトルの作用点は踵から前足部まで移行します。そして足関節周りに背屈方向のモーメントが生じ、急激に増加します。

【筋活動】
・歩行周期の7%時点で、背屈方向への崩れを防ぐためヒラメ筋が遠心性収縮を始めます。膝関節伸展の増加に伴い、腓腹筋も遠心性収縮をしてヒラメ筋の役割をサポートします。両方の筋の遠心性収縮により、下腿と大腿の前方への加速が制御されます。

・長母指屈筋が踵離れの準備のために立脚中期終了付近で活動します。この筋は荷重に備えて第1中足節間関節を安定化します。

・内側縦アーチをサポートし、内反外反に関与する長指屈筋は、この相を通して筋収縮を高めます。

【機能的意義】
しっかりと床に着いた足の上を身体が前方へ移動します。
動的に安定している下腿も前方へ動きます。
下腿三頭筋が下腿の動きを制御し、膝関節に安定性をもたらします。
前方への勢いは維持され、足関節は5°底屈位から5°背屈位になります。

立脚終期(歩行周期の31%~50%)

【運動の範囲】
・足関節は5°背屈位から10°背屈位まで動きます。
・中足指節間関節はニュートラル・ゼロ・ポジションから30°伸展位まで動きます。

【発生するモーメント】
背屈方向のモーメントが最大になります。そして歩行周期中で筋の活動が最大に要求されます。

【筋活動】
・下腿三頭筋の活動がこの相で最大になり、足関節の過度の背屈と下腿の前方へ崩れを防ぎ、踵離れを可能にします。この相で下腿三頭筋に要求される筋力は、立脚中期の約3倍となります。
・立脚終期の終わり頃にまず長指屈筋が、それに続いて長母指屈筋が、内側縦アーチをサポートするために最大に活動します。

【機能的意義】
下腿三頭筋が足関節の背屈を制御することによって、踵は地面から離れ、前方への最大の動きが可能になります。この運動は反対側の歩幅を大きくします。

前遊脚期(歩行周期の50%~62%)

【運動の範囲】
・足関節は10°背屈位から15°底屈位まで非常に素早く動きます。
・中足指節間関節は約30°伸展位から60°伸展位まで動きます。

【発生するモーメント】
反対側へ荷重が移行することによって、足が速やかに免荷され、それに伴い床反力ベクトルは減少します。また、足関節周りの背屈方向のモーメントも減少します。

【筋活動】
・下腿三頭筋の筋活動はこの相の初めに終了します。

残存的な下腿三頭筋の求心性収縮と受動的な緊張が足関節を底屈して下腿を前方へ運び、膝関節を屈曲することに寄与します。

・前遊脚期の終わり頃、次に控えた背屈のために前脛骨筋群の活動が始まります。

【機能的意義】
・指はまだ床に接しており、バランス保持に寄与します。
・底屈の動きとわずかに荷重された足が、膝関節屈曲とこれから遊脚肢となる脚の前方への引き出しをサポートします。

遊脚初期(歩行周期の62%~75%)

【運動の範囲】
・足関節は15°底屈位から5°底屈位まで背屈方向へ動きます。
・中足指節間関節は60°伸展位からニュートラル・ゼロ・ポジションに向かって動きます。

【発生するモーメント】
わずかに底屈方向のモーメントが発生します。

【筋活動】
前脛骨筋群が足関節を背屈させるために求心性収縮をします。
その際、長母指伸筋と長指伸筋がそれぞれ最大に活動します。

【機能的意義】
この相で足を床から離すために必要な足関節背屈が始まります。
しかし足関節はまだニュートラル・ゼロ・ポジションまではいきません。

遊脚中期(歩行周期の75%~87%)

【運動の範囲】
・足関節は5°底屈位からニュートラル・ゼロ・ポジションまで背屈します。
・中足指節間関節はニュートラル・ゼロ・ポジションです。

【発生するモーメント】
わずかな底屈方向のモーメントが発生します。

【筋活動】
・前脛骨筋群が活動します。
・下腿が床に対して直角になるまで前にくると、足の自重は下向きモーメントの原因となります。遊脚中期の前半に、前脛骨筋群がそれぞれに対して求心性収縮をします。

その後、筋活動は減少し、足関節をニュートラル・ゼロ・ポジションに保持するために、等尺性収縮をします。

【機能的意義】
床と足のクリアランスは1センチを超えません。
・下腿は床に対し直角になります。

遊脚終期(歩行周期の87%~100%)

【運動の範囲】
・足関節はにニュートラル・ゼロ・ポジションのままです。
・中足指間関節は、初期接地の準備のために伸展を始めます。

そして、指は0~25°伸展位となります。

【発生するモーメント】
わずかだった底屈方向のモーメントが0まで減少します。

【筋活動】
前脛骨筋群が、次に控えた荷重の受け継ぎの強い荷重に備えて緊張を高めます。

【機能的意義】
足関節のニュートラル・ゼロ・ポジションは、次に控えた初期接地の理想的な踵接地を保証します。

まとめ

歩行中の「足関節と中足指節間関節」の角度と動きについてご紹介させて頂きました。

歩行中の関節の角度と動きの理解は、歩行分析において大切です。

今回は「足関節と中足指節間関節」について取り上げましたが、他にも歩行において着目すべき関節「距骨下関節」「膝関節」「股関節と骨盤」「体幹」「腕」があります。是非、参考にしてみてください。

〈参考文献〉
1)Kirsten Gotz-Neumann (2014) 観察による歩行分析 原著 第1版第14刷 医学書院
2)石川朗・種村留美(2012)15レクチャーシリーズ 理学療法・作業療法テキスト 運動学 初版第1刷 中山書店

執筆者紹介

AYUMIEYE事務局

AYUMI EYEとは、早稲田エルダリーヘルス事業団が開発した 最先端の歩行能力解析デバイスです。

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