歩行の非対称性解析!加齢に伴う有効な評価とは?

通常、両方の足の速度が同じ対称性であれば安定した歩行が成立しますが、疾患などでそうでない場合があります。

今回、こちらの記事では歩行の非対称性について解析していきます。

歩行時の左右非対称性は転倒リスクと関連すると言われています。

この記事を読んでいただき、歩行の非対称性の原因や特徴を把握して、健康的な歩行を目指していきましょう。

歩行の非対称性とは?

歩行の非対称性とは、片方の足がもう片方の足に比べて速くなったり遅くなったりする時間の割合を言います。

非対称性の割合が低ければ低いほど歩行パターンは健康的と考えられています。

また、歩行の非対称性を解析する際におさえておきたいのが「歩行両脚支持時間」です。

「歩行両脚支持時間」とは、歩行中に両脚が地面についている時間の割合をさします。

なお、一般的な歩行での「歩行両脚支持時間」は約20%〜40%です。

この数値が低くなると片足で体重をかけて歩いていることが多くなり、歩行バランスが良いことを意味します。

【参考】:会計事務所の転職応援サイト 歩行両脚支持時間と歩行非対称性とは?健康に長生きするには歩行が大事

歩行の非対称性が特徴の慢性神経疾患 (CNC)

歩行が非対称性になる原因として考えられるのは、疾患ケガ、その他健康上の問題です。

また、特定の病気においては歩行時に非対称パターンが出現し、歩行コストが増加することがすでに報告されています。

その特定の病気のなかでも、特に非対称の障害を呈しているのが、慢性神経疾患(CNC) の患者です。

慢性神経疾患 (CNC)の患者の疾患に現れる歩行の非対称は、可動性やバランスの低下と関連付けられています。

そのため、リハビリテーション中に軽減することが可能です。

なお、下記の慢性神経疾患(CNC)の患者の多くは、対側の手足の身体機能に著しい差が現れています。

  • ・脳血管障害の後遺症
  • ・パーキンソン病(PD)
  • ・多発性硬化症(MS)

それぞれの疾患における歩行非対称の特徴を確認していきましょう。

【参考】:会津若松市 スマートフォンアプリで自分の歩行について知ろう 自分の歩行について知ろう 歩行両脚支持時間

脳血管障害の後遺症

脳卒中の後遺症の歩行非対称の特徴としては、主に下記のようなことが挙げられます。

  • ・歩行速度の低下
  • ・麻痺側単脚支持期の短縮
  • ・両脚支持期の延長
  • ・歩幅の短縮
  • ・足関節の可動域制限

など

なお、脳血管障害による脳卒中の後遺症における歩容や歩行障害の程度には、大きな個別差があります。

パーキンソン病(PD)

パーキンソン病(PD)患者の非対称歩行の特徴は歩幅低下に関係しています。

PD患者の歩行の特徴である「すくみ足」により歩幅が低下することで、歩行バランスを崩しやすくなります。

また、この際には前方に平衡を失うリスクが高くなるため、転倒の危険性も考えなければいけません。

さらに、PD患者は方向転換を行う際にターニングポイントの近くに足を接地する傾向があります。

この傾向が強ければ方向転換時の歩幅がより低下することもわかっており、歩行非対称を助長する一因になります。

「すくみ足」および「パーキンソン病」については、こちらのコラムにも詳しく載せております、併せてご参照ください。

すくみ足を呈するパーキンソン病の歩行分析とリハビリ

【参考】:科研費 パーキンソン病の歩行左右非対称性に対する分離トレッドミルを用いた歩行練習の効果

多発性硬化症(MS)

多発性硬化症(MS)の歩行障害は、歩行非対称を起こして持久力低下につながります。

症状はふらつくことが多く、日常生活の中で症状の変化があれば、進行している可能性があります。

具体的な日常生活の症状としては「自宅から駅まで徒歩の時間が長くなった」などです。

また、MSは加齢とは次元の違う速度で進行していく病気です。

そのため、60歳以降でなければ1年間で歩行速度が遅くなるほどの筋力が低下することは考えにくいと言えます。

【参考】:ノバルティス ヘルスケア チームMSに聞いてみよう -多発性硬化症Q&A:病気・症状のこと-

加齢に伴う歩行時の左右非対称性の有効な評価

歩行時の左右非対称性については、加齢の影響について研究した結果が参考になります。

その研究では、健常高齢と健常若年者数名を対象に歩行非対称性を簡便に調べる「円歩行テスト」を実施しました。

具体的には、歩行非対称性の加齢の変化と直線歩行時の非対称性、さらに円歩行時間の左右差との関連性について調査しています。

なお、円歩行の方法とは、左周りと右周りをそれぞれランダムに2回ずつ行い、2回の平均値のデータで左右差と非対称率を算出します。

研究結果では、直線歩行の歩幅の左右非対称率と立脚時間の左右非対称率どちらにおいても若年者と高齢者の間で有意差は見られませんでした。

一方、円歩行時間の左右非対称率に関しては、高齢者の方が有意に大きくなっています。

そのため、円歩行時間における左右差を解析することは、加齢に伴う歩行非対称性増加を評価する上で有効です。

【参考】:CiNii 歩行非対称性の新たな評価方法としての円歩行テストの有用性

まとめ

今回は「歩行の非対称性解析!加齢に伴う有効な評価とは?」についてご説明しました。

歩行の非対称を改善して安定した歩行を目指していくためには、歩行バランス歩行リズムを一定に保つことが重要です。

そのため、歩行訓練の際にも疾患や加齢に伴う歩行の非対称性について解析していくことは有用です。

そこで最後に、日々の歩行の非対称性の解析に役立つデバイスである「AYUMI EYE」をご紹介します。

AYUMI EYEは、歩行に必要な要素である「バランス」「リズム」「推進力」を正確に測定・評価することが可能です。

歩行バランスや歩行リズムの乱れが簡単かつ正確に見える化できるため、歩行の非対称性の解析に貢献してくれます。

ぜひ、歩行能力向上を飛躍的にアップできる評価・分析を活用しながら、歩行訓練を充実させていきましょう。

(参考資料)
会計事務所の転職応援サイト 歩行両脚支持時間と歩行非対称性とは?健康に長生きするには歩行が大事
会津若松市 スマートフォンアプリで自分の歩行について知ろう 自分の歩行について知ろう 歩行両脚支持時間
科研費 パーキンソン病の歩行左右非対称性に対する分離トレッドミルを用いた歩行練習の効果
ノバルティス ヘルスケア チームMSに聞いてみよう -多発性硬化症Q&A:病気・症状のこと-
CiNii 歩行非対称性の新たな評価方法としての円歩行テストの有用性
YAHOO! JAPAN ニュース 知ってる?あなたの歩行の癖、iPhoneは日々見守ってる【Apple純正アプリ・ヘルスケア】
J-GLOVBAL 多発性硬化症患者における6分歩行試験中の歩行非対称性と歩行の両側協調【JST・京大機械翻訳】
National Library of Medicine 慢性神経疾患患者の歩行、バランス、体力の非対称性に対する運動トレーニングの効果:ランダム化比較試験の系統的レビュー 海外サイトになります


歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析

AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。

バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。

測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。

簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。

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歩行時のバランスの重要性と改善方法 著者:佐藤洋平(EHA監修)
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