今回は、機能訓練の評価など病院や介護の現場で役立つ「BI(バーセルインデックス」についてご説明します。
また、BIの評価項目の一つである歩行・移動の評価基準や課題についても解説していきます。
高齢者施設に勤めている方や病院でリハビリを行う方は、ぜひこちらの記事をご参考にしてください。
バーセルインデックス(BI:Barthel Index)とは?
「バーセルインデックス(BI:Barthel Index)」とは、ADLの評価表(評価方法)のことを言います。
バーセルインデックスには、次のような特徴があります。
- ・全10項目がある
- ・「自立」「一部介助」「全介助」の分類に分かれている
- ・100点満点で採点する
採点方法も100点満点で分かりやすく、誰でも短時間で評価ができるため、患者や利用者のADLの把握に役立ちます。
10項目は、日常生活動作の全体像を把握するために、食事・移乗・整容・トイレ・入浴・歩行(移動)・階段昇降・更衣・排便・排尿が評価対象になります。
バーセルインデックスの目的と活躍場所
バーセルインデックスの目的は「利用者が日常生活の中でできるADLを評価しながら、現状のADLの状態を簡単に把握すること」です。
さまざまな現場で使われているBIの評価ですが、主に病院や高齢者施設で活躍しています。
病院で活躍するBI
脳卒中の後遺症がありADLの低下が見られる患者に対して、リハビリの長期的な判定のために活用されています。
介護現場での「ADL維持等加算」として活躍するBI
介護現場では、令和3年度介護報酬改定以降「ADL維持等加算」の評価方法として、BIが活用されるようになりました。
機能訓練指導員が評価する個別機能訓練加算のなかの「生活機能チェックシート」でも、評価項目にBIが組み込まれています。
また、個別機能訓練加算の(Ⅱ)では、BIの評価を「LIFE」に提出することが要件に組み込まれているため、評価方法を正しく知っておくことが必要です。
BIのメリット・デメリット
次に、BIのメリットとデメリットをご説明します。
BIのメリット
- ・専門職以外でも簡単に理解できる
- ・時間をかけなくて評価ができる
- ・100点満点の採点のため、分かりやすい
- ・比較的正確な評価結果が得られる
- ・国際的なADL評価方法である
- ・環境や条件などに左右されない
上記の通り、使いやすく分かりやすいのがメリットになります。
BIのデメリット
- ・「FIM」に比べて点数が大まかである
- ・細かいADL能力としては把握しにくい
- ・採点の根拠が明確ではない
上記の通り、細かい分析には不向きな点が挙げられます。
BIとFIMの共通点と違いについて
ADLをチェックする方法で、BIと類似しているものに「FIM(機能的自立度評価表)」があります。
次に、BIとFIMの共通点と違いについて、解説していきます。
BIとFIMの共通点
食事やトイレ、排泄、歩行や移動など、日常生活動作の自立度を数値で評価する点が共通しています。
BIとFIMの違い
BIは10項目100点満点で採点しますが、FIMは認知機能を含む18項目126点満点で採点します。
また、評価時間はBIが短く、FIMがやや長くなります。
BIの歩行評価・採点方法について
BIの評価・採点方法に取り組まれている「歩行・移動」の項目内容は、平地の歩行あるいは車椅子の移動ができるかで判断します。
「自立」「一部介助」「全介助は2段階」の計4段階で評価します。
見守り・介助なしで45m以上歩ける場合は「自立(15点)」です。
なお、途中で休憩をはさんだ場合はそこまでの距離で評価を行います。
また、装具の場合は、継手のロックが自分でできることが条件になります。
見守りまたは、わずかな介助があれば45m以上歩ける場合は「一部介助(10点)」です。
車椅子を自分で操作して45m以上移動ができる場合は「全介助(5点)」、歩行または車椅子での移動に全介助が必要となる場合は「全介助(0点)」で評価します。
BIの訪問リハビリにおける歩行能力評価の成果と課題
BIは、リハビリの臨床現場で頻繁に用いられていますが、訪問リハビリテーションでも活躍しています。
訪問リハ現場でも、すでにBIの評価を使って運動機能と歩行能力が有意に改善している事例が報告されています。
特に、リハ開始時のBIが100点未満の利用者で天井効果の影響を受けない利用者の成果が認められました。
しかし、訪問リハが高齢者のADL能力全般に与える効果を検討する場合、BIはその効果を適切に反映しえない点も指摘しています。
そのため、BIでは反映することができない小さなADL能力の変化については、BI以外の指標の変化も考慮にいれながら、総合的に解釈する必要があります。
まとめ
今回は「BI(バーセルインデックス)の役割とリハビリ歩行の評価」について説明しました。
歩行や移動を始めADL評価や機能向上のため、BIは大変有効なツールの一つです。
しかし、BIやFIMにも細かい評価や分析を補えない点が数多く存在しているのも事実です。
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ぜひ、AYUMI EYEを活用しながら歩行バランスを安定させて、いつまでも健康的な生活を送りましょう。
(参考資料)
ディアケアプレミアムーADLのアセスメント:バーセルインデックス(BI)
ケアニュースー歩行から始まるADL維持向上 21年度改定・アウトカム評価を加速
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