コラム

骨関節疾患による歩行症状についてわかりやすく紹介

骨関節疾患は、理学療法における主要な疾患の1つです。

骨関節疾患により日常生活にどんな障害が生じるのか、歩行にどんな異常が生じるのかを理解しておくことは、理学療法を行う上で大変重要です。

この記事では、骨関節疾患における歩行症状を中心に、その特徴についてわかりやすく解説していきます。

骨関節疾患とは?

骨関節疾患とは、骨や関節に何らかの力が加わることで、痛みや変形が生じたり、破壊されてしまう疾患のことを言います。

例えば、急に大きな外力が加わることによる骨折、頻回に小さな力が加わることによる使いすぎ症候群、加齢により徐々に骨や関節に変形が進むもの、原因不明で長期にわたって骨や関節に破壊が生じるものなど、その原因はさまざまです。

内科疾患と違い、骨関節疾患は生命を脅かすことはありませんが、生活の質を低下させる疾患と言えます。

骨関節疾患により動作や歩行に制限ができる

骨関節疾患により、骨や関節に痛みや変形・破壊が生じると、日常生活の動作や歩行に様々な制限ができてしまいます。

痛みや不安感から患部をかばい、使わなくなることにより関節が固くなり、余計に痛みが加速してしまうこともあります。

そうすると、今までできていた動作ができなくなったり、歩き方に違和感が生じます。

また、このような状況を長期に渡り反復してしまうことで、様々な代償動作を学習していたり、患部以外の部分にまで影響が及び、二次的障害を引き起こすこともあります。

主な骨関節疾患別、歩行症状

それでは、主な骨関節疾患別の歩行性症状について説明します。

・変形性股関節症の歩行症状
・変形性腰椎症の歩行症状
・変形性膝関節症の歩行症状
・変形性頸椎症の歩行症状
・骨折の歩行症状

それぞれに疾患の特徴的な歩行について、勉強していきましょう。

変形性股関節症の歩行症状

変形性股関節症は、老化により股関節の関節軟骨に変性が生じることが原因のものと、臼蓋形成不全という発育不全などが原因で二次的に生じるものがあります。

進行すると、関節が変形していきます。

痛み

鼠径部、大腿前面の鈍痛で始まり、徐々に進行します。

運動時痛と荷重時痛があり、安静時には軽減します。

痛みは時に膝まで放散します。

運動制限

股関節内転・外転・回旋に制限がみられます。

屈曲は比較的保たれます。

病気の進行とともに、拘縮による異常肢位をとるようになります。

初期:股関節屈曲・外転・外旋位(関節内圧の関係で、痛みが出にくい肢位)
末期:股関節屈曲・内転・内旋位(骨の変性により、この肢位になってしまう)

歩行症状

股関節に痛みを伴う場合、一般的な疼痛性跛行(痛みを避ける歩き方)とは異なり、痛みのあるほうの足に乗りかかるような歩行になります。

人はスムーズに歩くために、骨盤を水平位に保ちながら歩きます。

骨盤を水平位に保つのが股関節外転筋の役割で、体重の3倍もの圧がかかります。

そこで、痛みがある状態の部位に体重の3倍もの圧がかかるのを避ける動きをします。

その動きとは、骨盤を傾けることにより股関節上に体重を乗せ、圧を避ける動きです。

この特徴的な歩行を「ドゥシャンヌ歩行」「代償性トレンデレンブルグ歩行」といいます。

変形性腰椎症の歩行症状

変形性腰椎症は、腰椎の加齢変化による腰痛などの症状を呈するものの総称です。

腰部脊柱管狭窄症や変性すべり症はこの疾患の1つの型です。

痛み

腰の痛みが主で、軽快と悪化を繰り返します。

重いものを持ち上げたり、中腰の作業など腰に負担のかかる時におこる場合、起き上がりや立ち上がりなど姿勢を変える時におこる場合、長時間同じ姿勢を続けているとき起こる場合などがあります。

運動制限

腰痛の後湾変形、側湾変形が生じます。

これにより、体幹の前屈や後屈、側屈をしにくくなります。

歩行症状

腰痛が強い場合、腰回りの動きが制限されてしまいます。

腰の痛みを避けるために骨盤の運動範囲が狭くなります。

そのため、腰・骨盤を動かさず、膝を曲げて代償する歩行になることが多いです。

また、腰痛により下肢全体の力が低下してしまい、長く歩けないことも特徴的です。

変形性膝関節症の歩行症状

変形性膝関節症は、加齢により膝関節機能が低下して、軟骨が摩耗し、半月板の変性や断裂、骨の変性や変形が生じる疾患です。

関節炎を起こし、進行すると関節の変形が顕著となり、慢性的な疼痛や可動域制限により歩行が困難となるなどADLが著しく障害されます。

痛み

運動時痛、荷重時痛が主ですが、関節に炎症を起こし、関節の中に水が貯まる状態になってしまうと、腫れが出て安静時にも痛みが生じるようになります。

運動制限

大腿四頭筋の萎縮が生じ、膝の屈伸の可動域制限に繋がります。

膝内反変形(O脚)を伴うのが特徴的です。

歩行症状

膝関節が不安定になることで、歩行時に膝の動揺が生じます。

前方動揺:痛みのある方の足に体重がかかると、膝の屈曲角度が増して前方に動揺します。

大腿四頭筋の筋力低下により膝折れが生じることもあります。

外側方動揺:痛みのある方の足に体重がかかると、膝が外側方に動揺します。

足を開いて歩いているような印象になります。

変形性頸椎症の歩行症状

変形性頸椎症は、頸椎の加齢変化に伴う頸部周囲の疼痛、こり感などの局所症状を呈した状態です。

椎間関節が変性して狭小化し、さらには頸椎柱の配列異常などが生じます。

痛み

首や上背部の痛みやこり感が主です。

また、首の後ろ側の筋肉が緊張し、後頭部痛を生じ、頭痛の原因にもなります。

運動制限

首の可動域制限が生じます。

頚椎に障害が起こると、脊髄が圧迫されてしまい、神経症状(しびれや麻痺など)を生じることがあり、これを頚椎症性脊髄症といいます。

歩行症状

首の痛みだけで、神経に障害がなければ、顕著な歩行症状はみられません。

頚椎症性脊髄症のように神経障害が生じる状態になった場合、歩行症状がみられます。

頚椎症性脊髄症の歩行の特徴は「ふらつき」「つまづき」です。

痙性もしくは失調性の歩行障害を呈するといわれています。

骨折の歩行症状

骨折とは、骨の解剖学的な連続性が破綻した状態、つまり骨にヒビが入ったり折れたりする状態です。

骨の強度を上回る外力が加わって起こる場合と、そこまでは強くない外力が持続的に反復して加えられることによって起こる場合があります。

痛み

骨折による痛みは、骨折部位によって異なります。

高齢者に生じやすい4大骨折は、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、椎体圧迫骨折です。

中でも、大腿骨頚部骨折と椎体圧迫骨折は、歩行障害をもたらす骨折です。

大腿骨頚部骨折では、股関節外側に痛みが生じます。

椎体圧迫骨折では、折れた脊椎の部位に痛みを生じます。

運動制限

骨折直後は、骨癒合のために、まずは安静が必要です。

手術による固定、コルセット等による固定で運動制限が余儀なくされます。

また、手術によっては、禁忌肢位を伴います。

例えば、股関節頚部骨折の手術として人工骨頭置換術を行うことがあります。

人工骨頭が入っているため脱臼の恐れがあり、屈曲・内転・内旋位は禁忌です。

歩行症状

一般的に、固定や手術により骨癒合が完成し、リハビリテーションを行うことで後遺症が残らないように治療が進み、骨折前の歩行を取り戻します。

しかし、術後の痛みがどのくらい長引くか、痛みへの不安などで治療が思うように進まず、予後に影響することもあり、後遺症が残る場合もあります。

〈参考文献〉

1)   落合慈之.整形外科疾患ビジュアルブック:学研メディカル秀潤社
2)   冨士武史.ここがポイント!整形外科疾患の理学療法 改定第2版:金原出版

まとめ

骨関節疾患による歩行症状についてご紹介させて頂きました。

それぞれの骨関節疾患で歩行症状の特徴は違います。

この記事を読むことで、それぞれの骨関節疾患でにおいて、どこにポイントをおいて歩行を分析すべきか、参考になれば幸いです。

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