皆さまは「ぶん回し歩行」という症状を聞いたことはありますでしょうか?
「分回し歩行」「ぶんまわし歩行」とも表記され、比較的ご年配の方に多く見られる症状になりますが、片足を振り子のように、ぐるっと半円を描きながら歩く歩行方法です。
今回の記事では、「ぶん回し歩行」についてとその原因と、防止方法や、脳の病気との意外な関係性についてご紹介したいと思います。
「ぶん回し歩行」とは?
主に脳卒中の患者さまに起こる後遺症の1つで、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの影響で片麻痺や痙縮(けいしゅく)が起こることによってみられる症状になります。
よく見られる特徴としては、歩行の際、足先が床や地面に引っ掛かり、本来の歩行動作を低下させるため、それらをカバーするようなかたちで片足を外側より、ぐるっと回すように振り出す傾向があります。
なぜこのような動きをするのかというと、歩行の際、片足を上げ、つま先を上げる動作(「背屈」と言います)が、ご自身が思い描くようにスムーズ出来ないため、このような動きをするといわれてます。
足の付け根から足先までが、1本の棒のように伸びきった状態になり、ちょっとした段差や障害物でつま先が引っ掛かってしまうため、転倒しやすく、歩行速度も低下してしまいます。
周りの歩行者の方への妨害をはじめ、最悪の場合、自転車や自動車などへの巻き込み事故へと繋がってしまったケースもあるため、大変危険な歩行動作になります。
「ぶん回し歩行」となってしまう原因とは?
ぶん回し歩行を行う多くの方に見られる傾向として、片麻痺がその背景にあるといわれております。
身体の左右どちらかの半身が麻痺している状態のため、無意識のうちに麻痺していない方を使って何とか歩行しようとすることが仇となり、遠心力を使った力任せの歩行方法になるとの報告がありました。(※1)
また、片麻痺でなくても、足腰の筋力の衰え、腰や膝、足首の関節部の柔軟性の低下が原因となる場合もあります。
稀に履いている靴のサイズが合っていない場合や、歩行者の足の形状と合っていないことが原因となるケースもあるようです。
「ぶん回し歩行」の防止や改善方法
1番の防止としては、脳卒中や脳梗塞、脳出血やくも膜下出血などにならないよう、日頃から身体を気遣うことが挙げられます。
人間の脳は非常にデリケートでかつ複雑で、いまだに未知な領域や多く、現代の神経科学でもすべてを解析することが出来ない基幹といわれています。これら脳の病気は、その大切な脳細胞をことごとく破壊してしまいます。
大変残念なことに、現在の医学や医療をもってしてでも、その破壊されてしまった脳細胞を完全に回復させることは出来ません。 しかしながら、人間の脳はリハビリを繰り返し行う事によって、緩慢的ではありますがあらたに自己再生する力を秘めているといわれています。
歩行時に必要とされる足の筋力を維持することや、腰や膝の関節部の柔軟性を維持し続け、同時にリハビリも繰り返し取り組むことによって、回復の兆しがあると言えるでしょう。
まとめ
今回は「ぶん回し歩行」についてご紹介しました。
実はその背景に脳の病気や症状が関係しているため、自分は絶対に大丈夫とは言い切れず、誰にでも起こる可能性があります。普段の食生活の乱れや運動不足、ストレスや喫煙など、脳の病気はいつ、何がきっかけで起こるかがはっきりと分からないため、日頃からのケアが大変重要になってきます。
この機会に是非ご自身のお身体やメンタルなど、一度深く見つめ直してみてもいいのではないでしょうか。
暴飲暴食を控えることや、定期的に適度な運動、趣味やスポーツでのストレス発散など、まずは出来る範囲で取り組んでいくことが大切と言えます。
いつまでも健やかに、楽しく送れる日々を目指して、意識していければと考えております。
※1 歩行障害とリハビリテーション医学・医療 和田直樹氏 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf
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