歩行分析は、リハビリテーション医学における重要な臨床検査の手段です。
歩行分析により診療報酬を算定できるD250平衡機能検査があります。
観察による歩行分析だけではなく、臨床検査を行うことで加算に繋がります。
そのためには、歩行分析による診療報酬算定に必要なD250平衡機能検査の特徴や点数に関して、周知しておかなければなりません。
この記事では、歩行分析により算定可能なD250平衡機能検査について、検査別の特徴や点数についてご説明いたします。
そして、D250平衡機能検査の動作分析検査(250点)を実施することができる「AYUMI EYE medical」についてもご紹介させて頂きます。
歩行分析による医科診療報酬点数について
令和2年度 医科診療報酬点数表の、第2章:特掲診療料 → 第3部:検査 → 第3節:生体検査料 → 耳鼻咽喉科学的検査 → D250平衡機能検査を実施することにより、歩行分析による診療報酬の算定が可能となります。
D250平衡機能検査について
では、歩行分析で算定のできる検査 D250平衡機能検査 について、それぞれの検査の特徴と点数について、過去の疑義解釈Q&Aも参考にしながらご説明していきます。
1.標準検査(一連につき):20点
標準検査とは、下記のことをいいます。
・上肢偏倚検査(遮眼書字検査、指示検査、上肢偏倚反応検査、 上肢緊張検査等)
・下肢偏倚検査(歩行検査、足ぶみ検査等)
・立ちなおり検査(ゴニオメーター検査、単脚起立検査、両脚起立検査等)
・自発眼振検査(正面、右、左、上、 下の注視眼振検査、異常眼球運動検査、眼球運動の制限の有無及び眼位検査を含む検査)
一連の検査につき、その数にかかわらず、所定点数により算定できます。
2.刺激又は負荷を加える特殊検査(1種目につき):120点
ア〜オのそれぞれ検査一回につき所定点数により算定することができます。
ア 温度眼振検査(温度による眼振検査)
イ 視運動眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)
ウ 回転眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)
エ 視標追跡検査
オ 迷路瘻孔症状検査
3.頭位及び頭位変換眼振検査
イ 赤外線CCDカメラ等による場合:300点
赤外線カメラを用いて、暗視野において眼振及び眼球運動等の観察を行った場合に算定することができます。
ロ その他の場合:140点
フレンツェル眼強下における頭位眼振及び変眼振検査をいい、一連の検査に付き、その数に関わらず所定点数により算定することができます。
頭位及び頭位変換眼振検査と併せて行った浮遊耳石置換法は、当該検査料に含まれます。
4.電気眼振図(誘導数にかかわらず一連につき)
イ 皿電極により4誘導以上の記録を行った場合:400点
眼振を含めた各種の眼球運動の記録を残すことができ、眼振を定量的に解析、閉眼や暗所開眼状態の記録を行うことが可能です。
ロ その他の場合:260点
電気眼振図を区分番号「D278」眼球電位図(EOG)と併せて行った場 合は、主たる検査の所定点数のみを算定することができます。
5.重心動揺計、下肢加重検査、フォースプレート分析、動作分析検査:250点
重心動揺計
重心動揺計は、荷重変動を測定する検出器とこの荷重信号を記録・分析するデータ処理装置から成る装置を用いて、めまい・平衡障害の病巣診断のために行うものです。
本検査は、当該装置を用いて、重心動揺軌跡を記録し、その面積(外周・矩形・実 効値面積)、軌跡長(総軌跡長・単位軌跡長・単位面積軌跡長)、動揺中心変位、ロンベルグ率を全て計測した場合に算定するものです。
なお、本検査は、1の標準検査を行った上、実施の必要が認められたものに限り算定することができます。
下肢加重検査、フォースプレート分析、動作分析検査
下肢加重検査、フォースプレート分析、動作分析検査については、1の標準検査を行う必要はありません。
下肢加重検査は次に掲げるものを言い、一連の検査として何種類行ったかにかかわらず、所定点数のみ算定することができます。
(1)靴式足圧計測装置により、下肢荷重を計測し、垂直荷重分析などを行う検査
(2)シート式足圧接地足跡計測装置により、下肢荷重を計測し、時間・距離因子分析および接地足跡分析などを行う検査
(3)プレート式足圧計測装置(左右別)により、下肢荷重を計測し、左右足の足圧中心(COP)移動分析などを行う検査
耳鼻咽喉科学的疾患のみならず、リハビリテーションの対象疾患、整形外科学的疾患、脳血管系疾患、脳外科学的疾患、神経内科学的疾患などの疾患にも、医学的に必要で薬事法の範囲内であれば算定可能です。
平衡機能検査(耳鼻咽喉科学的検査)以外の検査(分析)にも、医学的に必要であれば適応され、算定が可能です。
パワー・ベクトル分析
パワー・ベクトル分析を行った場合には、パワー・ベクトル分析加算として200点を、刺激又は負荷を加えた場合には、刺激又は負荷加算※1として、1種目につき120点を所定点数に加算することが可能です。
パワー・ベクトル分析加算は、記録された重心動揺軌跡のコンピューター 分析を行い、パワー・スペクトル、位置ベクトル、速度ベクトル、振幅確率密度分布を全て算出した場合に算定することができます。
※1の刺激又は負荷加算は、電気刺激、視運動刺激、傾斜刺激、水平運動刺激、 振動刺激等姿勢反射誘発を加えて本検査を行った場合に1種目ごとに算定します。
別の検査を行った場合には、それぞれ算定することができます。
1つの検査について複数の方法で行った場合には、1回のみ算定することができます。
AYUMI EYE medicalは診療報酬を算定できる
AYUMI EYE medicalは、D250平衡機能検査における「5」動作分析検査(250点) の実施が可能です。
「AYUMI EYE medical」の詳細と、実際の算定事例については下記をご覧ください。
・歩行解析デバイスAYUMI EYE medical
・AYUMI EYE medical 診療報酬 ~算定事例~
〈参考〉
日本リハビリテーション医学会 社会保険等委員会:医科診療報酬点数表「D250 平衡機能検査 5 重心動揺計,下肢加重検査,フォースプレート分析,動作分析検査」を算定する場合の解釈について.Jpn J Rehabil Med VOL. 44 NO. 8 2007
まとめ
歩行分析により算定可能な“D250平衡機能検査”について、検査別の特徴や点数、そして、D250平衡機能検査の「5」動作分析検査を実施できるAYUMI EYE medicalについてご紹介させて頂きました。
歩行分析は、リハビリテーション医学における重要な臨床検査の手段です。
歩行分析による医科診療報酬を算定する際のご参考になれば幸いです。