膝のロッキングって何?原因と対策

「膝ロッキング」という言葉を聞いたことがありますか。

歩行中に生じる問題で、主に脳卒中を患い、片麻痺を有する方によく見られます。

今回はこの「膝ロッキング」について、原因や問題点を中心にまとめていきたいと思います。

 膝関節の滑らかな動きを支える半月板が断裂など傷ついている場合に、膝の運動にともなって傷ついた半月板の一部が挟み込まれて膝が動かなくなることがあります。この現象も「膝ロッキング」と表現しますが、今回は扱いませんのでご了承ください。

「膝ロッキング」ってどんな状態

人が歩くとき、膝関節はどのように運動しているのでしょうか。

足が地面についている状態を立脚期、離れている状態を遊脚期と呼びますが、膝関節はそれぞれの時期において約20°、60°屈曲するといわれています。※1

立脚期における膝関節の屈曲は衝撃吸収にとって重要な役割を果たしています。

この立脚期における膝関節の屈曲が消失し、膝を伸展させたままで荷重する状態を「膝ロッキング」と呼びます。

「膝ロッキング」の原因と問題点

「膝ロッキング」にはいくつかの原因が考えられますが、多くの場合、脳卒中によって片麻痺を有する患者さんにおいて出現します。※2

片麻痺を有する方の「膝ロッキング」に関する原因の代表的なものには、

  • ①膝の支持性低下
  • ②足関節の可動域低下
  • ③股関節・体幹のコントロール低下

が挙げられます。※3

それぞれを解説しましょう。

膝の支持性低下

片麻痺になると、膝を伸展させる主要な筋である大腿四頭筋の筋発揮がうまく行えなくなります。

立脚期に膝が屈曲してしまうと膝折れと呼ばれる異常運動を起こしてしまうことがあります。

膝折れはそのまま転倒につながる恐れがあり、患者さんにとっても非常に不安な異常運動となります。

そのため、わざと膝を進展させたままで荷重することによって膝折れを回避しようとする結果、「膝ロッキング」が生じます。

足関節の可動性低下

片麻痺によって、痙縮と呼ばれる強い筋緊張が生じることがあります。

その結果、足関節が底屈位(下向き、つま先立ちのような状態)となり、背屈方向への運動が難しくなることがあります。

歩行の立脚期において、足関節は約20°背屈する必要がありますが、痙縮による可動域制限によってこの運動が難しい場合、膝を屈曲させることができなくなり、「膝ロッキング」が生じます。※1

股関節・体幹のコントロール低下

人間が歩行する際、地面から重心に向かって床反力という力が加わります。

この床反力が、立脚期中の膝関節中心に対して前方を通ると膝は伸展方向、後方を通ると膝は屈曲方向へ運動させる力が加わります。

通常、歩行中の体幹は大きく前傾・後傾せず、立脚期のほとんどで床反力は膝関節中心の後方を通ります。

しかしながら片麻痺により、体幹をまっすぐ保つことが難しくなると、体幹が大きく前傾してしまいます。

結果として重心が前方へ移動し、床反力が膝関節中心の前方を通ることになり、膝を伸ばそうとする力が加わり、「膝ロッキング」が生じます。

まとめ

片麻痺を有する方における「膝ロッキング」は歩くうえでやむを得ず出現している側面があるのも事実です。

実際に、「膝ロッキング」を用いれば麻痺のある下肢でも歩行することが可能になります。

しかしながら、「膝ロッキング」では筋肉ではなく、骨や靭帯、関節包などの軟部組織によって体重を支えて衝撃を吸収するために、繰り返し行われることによって反張膝と呼ばれる膝の過伸展変形をきたす恐れがあります。

反張膝は膝の伸展方向への支持性が下がり、膝の疼痛にもつながるうえ、外科的治療や装具でしか治療が行えないため、非常にやっかいな状態なので可能な限り膝ロッキングは避けるべきです。

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※1 中村他ー基礎運動学 第6版 2003 医歯薬出版株式会社
※2 PerryーGait Analysis 1992 SLACK incorporated
※3 加藤芙美子ーいわゆる膝ロッキングが著明な左片麻痺患者に対する理学療法経験 理学療法いばらき10(3) 2007


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