パーキンソニズムとは、パーキンソン病とは別の原因により生じるパーキンソン病の症状を言います。
パーキンソニズムの評価やリハビリを行う際には、原因疾患や薬物療法などの知識が必要です。
そこで今回は、パーキンソニズムについて詳しくご説明します。
歩行の特徴やリハビリの注意点についてもお伝えしますので、こちらの記事をお役立てください。
パーキンソニズムの定義と特徴
パーキンソニズムの定義は、次のいずれかに該当する場合になります。
- ・典型的な左右差のある4〜6Hzの安静時振戦がある
- ・歯車様強剛、動作緩慢、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する。
また、パーキンソニズムの身体的特徴は上下肢・体幹の伸筋群が弱化しやすい傾向です。
さらに、精神的特徴には抑うつ的などを合併することがあります。
パーキンソニズムの原因
パーキンソニズムは、主に次のような原因で引き起こされます。
- ・脳の病気
- ・特定の薬剤や毒素
それぞれ細かく解説していきます。
脳の病気
パーキンソニズムの症状は、以下のような脳に関連する病気で起こります。
- ・ウイルス性脳炎
- ・アルツハイマー病
- ・多系統萎縮症
- ・大脳皮質基底核変性症
- ・前頭側頭型認知症
- ・進行性核上性麻痺
- ・脳腫瘍
- ・脳卒中
- ・頭部外傷
- ・ウィルソン病
など なお、頭部外傷は特にボクシングで繰り返し受けるものが多く、ウィルソン病は主に若年者に起こります。
また、脳の変性疾患によって引き起こされるパーキンソニズムは、非定型パーキンソニズムと呼ばれています。
特定の薬剤や毒素
特定の薬剤や毒性物質は、神経細胞同士の情報伝達を阻害もしくは遮断してしまいます。
例えば、パラノイアや統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、重要な神経伝達物質であるドパミンの作用を遮断します。
また、毒性物質の原因になるのはマンガン、一酸化炭素、メタノールなどが挙げられます。
パーキンソニズムの症状
パーキンソニズムは、以下のようなパーキンソン病と同様の症状が現れます。
- ・安静時振戦
- ・筋肉のこわばり
- ・ゆっくりとした動き
- ・バランスや歩行の維持の困難
また、他の症状が現れたりする場合もあります。
パーキンソニズムの治療法
一般的な治療法としては、可能であればパーキンソニズムの原因を、改善もしくは治療をしていきます。
また、薬剤が原因である場合は薬剤の中止によって治癒することがあります。さらに、基礎疾患が治療されると症状が軽減されたり、消失したりすることもあります。
パーキンソン病の場合に行う対策は、パーキンソニズムにも役立ちます。
主に、以下の対策が有効です。
- ・できるだけ活発に過ごす
- ・日課を分かりやすくまとめる
- ・補助器具を活用する
- ・バリアフリーなど家庭での安全対策
- ・良好な栄養を摂る
など 上記対策は専門家の指導のもと正しい方法で行いましょう。
パーキンソニズムの立位や歩行の特徴
パーキンソニズムの人は、静止立位において健常人に対して重心が後方にある傾向です。
立ち上がりや歩行時に重心が後方に残ってしまうため、他動的に重心を前方に変位させていく補助が必要です。
また、歩行時に前後左右への重心移動が小さい特徴があります。
その他、平地より階段で足がうまく運べたり、床に障害物を置いたり、線を引いたりすると歩行がスムーズに動く場合があります。
パーキンソニズムの症状の評価ポイント
パーキンソニズムの症状の評価については、次の3点をポイントにおさえておきましょう。
- ①運動
- ②精神的
- ③自律神経系
また、上記3点を評価する際、以下のようなことに注意しましょう。
- ・検査肢位だけではなく、その他の動作時の筋群の緊張がどのように影響しているか注意する
- ・単に動作の緩慢さを観察するのではなく、転倒回避動作の反応時間を検査する
- ・立ち直り反射や平衡反応が減弱や消失していないかどうか確認する
- ・特に後方への転倒に注意する
- ・円背姿勢やすり足・小刻み歩行、すくみ足、加速歩行 、体幹回旋の消失や運動リズム化障害に注意する
- ・嚥下障害や構音障害、小字症、自律神経症 状として多汗、流涎、起立性低血圧に注意する
パーキンソニズムの立位・歩行訓練について
パーキンソニズムのリハビリは廃用症候群を予防します。
同時に、進行性の運動機能低下に抗して自立度を維持または向上していくことが目的になります。
次に、パーキンソニズムの立位や歩行訓練のリハビリに効果的な方法をお伝えします。
- ①立位でつま先立ちや踵立ち運動をメトロ ノ ームに合わせて交互にリズミカルに行わせる訓練を行う
- ②体重移動の誘発のためキャッチボールを行う
- ③歩行路に棒を置くか線を引き、またぐように歩く
- ④寝返りや膝立て背臥位での体幹回旋運動を行う
- ⑤PNFを用いた軽い抵抗運動、階段昇降訓練、椅子からの立ち上がり訓練を行う
まとめ
今回は「パーキンソニズムの立位や歩行の特徴!効果的なリハビリとは?」について解説しました。
パーキンソニズムの人は、起き上がりや床からの立ち上がり、トイレや浴室動作など転倒を生じやすい動作の安定化が必要です。
動作の安定化を図るには、静止立位から歩行にかけての重心バランスの調整を行うことが求められます。
その点、AYUMI EYEは歩行バランスの能力分析や解析に長けており、現在の体の状態を簡単に分析、評価することが可能です。
ぜひ、AYUMI EYEを使って歩行訓練に活用しながら、パーキンソニズムの症状に対して歩行リハビリの成果を上げましょう。
(参考資料)
米田稔彦ーパーキンソニズムの評価と治療
奥壽郎・網本和・山崎裕司ーパーキンソニズム患者に対する補高が足圧中心動揺・歩行に及ぼす影響 重症度別の検討
難病情報センターーパーキンソン病(指定難病6)
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