歩行の安全性を支える構造をロボティクスとともに考える!

機械工学、電気・電子工学、情報工学に関する研究を総合的に行うロボット工学のことを指す「ロボティクス」

ロボティクスの技術は、現在ますます人間の動きに近い形に進化しています。

今回、こちらの記事では進化するロボティクスを通じて、ロボットと人間に共通する歩行に重要な点など詳しく説明していきます。

ロボティクスの技術を確認していきながら、私たち人間の歩行能力向上にもつなげていきましょう。

進化するロボティクスの技術

従来、ロボットは前に進みながら旋回する大回りの旋回動作が主流でした。

しかし、近年では足を屈曲させて動く二足歩行である「バイオハイブリッドロボット」が作られています。

このロボットの特徴は、片足を駆動足にして、もう一方を軸足にします。

そうすることで、ボディの内側で旋回中心を設けることを可能にしたのです。

その結果、人間の二足歩行運動で観察されるような柔軟性のある細やかな旋回運動を実現しています。

また現在、ロボットの活用は「歩行治療ロボット」など医療分野でも注目を浴びています。

その例として、2023年に順天堂大学医学部附属順天堂医院では、日本で初めて歩行治療ロボットを導入しました。

このロボットは、脳卒中脊髄損傷パーキンソン病など多くの歩行障害に対して有効性が期待されています。

さらに、3D仕様のロボットなど歩行中に胴体を前後左右に加減速させることが実現。

これからもますます遊脚自由度を利用した開発が進んでいくでしょう。

そして、このようにロボティクスの技術の発展は、人間の運動メカニズムを理解する上でもとても参考になります。

【参考】:テレ東BIZ ロボットスーツが驚きの進化!医療だけでなくトレーニングにも?「人の役に立つロボットをつくりたい」サイバーダイン山海CEOのいま!【ガイアの夜明け『あの主人公はいま』#6】(2022年5月26日)

人間もロボットも歩行で大切な重心移動

一般的に、歩く際に重心の移動や関節のかかり方など、細かく考えながら歩く人は少ないでしょう。

しかし、ロボティクスによるロボットを二足歩行させる考え方には、それらを一つずつ分析する必要があります。

例えば、重心の位置が不安定な二足歩行のロボットでは、少しの力を加えるだけで簡単に転んでしまうなどの問題を考慮しなければなりません。

一方、同じ二足歩行でも人間は転ばないように、無意識に安定できる重心位置を常に感知してバランスをとっています。

そのため、人間が安全歩行を保つためには、無意識に行う二足歩行の重心移動の方法について、しっかりおさえておく必要があります。

なお、安全な重心移動とは片足を上げたときに、もう一方の足にしっかりと重心を乗せることです。

また、両足が地面に着いた時点で、重心を体の真ん中に持っていくことも歩行の「バランス」を保つために必要です。

このことは、ロボットも人間もスムーズな歩行につなげるための大きな共通項と言えます。

【参考】:夢ナビ 大学で究める学問発見サイト ロボットが挑む未来 ~君はロボットを動かすことができるか~

歩行の吸収を和らげるロボットと人間の構造の違い

一般的な二足歩行ロボットは、腰・膝・足首の3関節を備えています。

このロボットの構造は、足の重心位置や移動速度を任意に制御することが可能です。

例えば、遊脚が着地する瞬間にその足の重心を下方に加速させることで、見かけ上の慣性を小さくさせます。

そうすることで、着地衝撃力をほぼ0にすることができるのです。

この歩行状態を人間に例えてみると、常につま先立ちしたような姿勢になり、抜き足差し足で歩くような歩容です。

そのため、人間がつま先で地面を踏みしめようとするときは、かかとで踏みしめるときほどの衝撃力を発生させることは難しいでしょう。

実際には、人間が着地衝撃力を軽減させるには、着地で受けた力に体幹の力を加えることで発生する反発力を「推進力」にかえていくことが必要です。

【参考】:夢ナビ 大学で究める学問発見サイト 人型ロボットの2足歩行制御のために人間の歩行を学ぶ

柔軟な歩行を可能にする人間の構造

多くの2足型ロボットは、腰の位置を低く一定に保ち、膝を曲げた状態で歩行しています。

このことは、ロボットの膝関節が伸びてしまうと自由度が縮退してしまい、制御コントロールが難しくなるためです。

一方、人間の歩行は上体の上下運動や腰、膝、足首の関節をうまく使うことで、常に自由度を保ちながら歩行しています。

また、膝を柔軟に動かすことで、伸ばすことによって起こる体重を支える負担が少なくなるため、エネルギー効率も高くなります。

以上のように、人間が本来持つ柔軟性がある歩行につなげるためにも、各関節の可動域の確保と上体の連動性がある安定した歩行の「リズム」が必要です。

【参考】:九州大学 大学院システム情報科学研究院 倉爪・河村研究室 実世界情報ロボティクス 4足歩行ロボットの安定動歩行

まとめ

今回は「歩行の安全性を支える構造をロボティクスとともに考える!」についてご説明しました。

ロボティクスの二足歩行における研究は現在も発展途上にあるため、今後もますます進化が期待されます。

また、人間もスムーズな安全歩行のためには、ロボットが進化していくなかで手に入れた関節の柔軟性上体運動の連動性などを高めていくことが必要です。

最後に、歩行時の体の動きを正確に評価・分析することができる「AYUMI EYE」をご紹介します。

AYUMI EYEは、歩行に必要な「バランス」「リズム」「推進力」の3つを正確に評価・分析することができるため、関節の動きや体の連動性を確認することが可能です。

ぜひ、歩行リハビリや歩行訓練の評価・分析力を高めていきながら、歩行能力の向上につなげていきましょう。

(全体参考資料)
夢ナビ 大学で究める学問発見サイト ロボットが挑む未来 ~君はロボットを動かすことができるか~
夢ナビ 大学で究める学問発見サイト 人型ロボットの2足歩行制御のために人間の歩行を学ぶ
九州大学 大学院システム情報科学研究院 倉爪・河村研究室 実世界情報ロボティクス 4足歩行ロボットの安定動歩行
J-Stage 二足歩行ロボットの研究開発の現況
順天堂大学 最新歩行ロボット「Lokomat Nano」による歩行治療を開始 ― 我が国初の治療目的使用 ―


歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析

AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。

バランスや歩行速度などがその場でiPad専用アプリにて解析され、結果が点数・マップ化してすぐに見ることができます。

測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。

簡便な操作で分かりやすい結果をフィードバックできるAYUMI EYEを使用し、歩行分析を行ってみてはいかがでしょうか。

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歩行推進力とその改善方法 著者:佐藤洋平(EHA監修)
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