全力疾走した時や階段の上り下りで誰もが起こり得る一時的な「息切れ」は、さほど問題にはなりません。
しかし、軽く歩行しただけでも息切れが起こってしまう場合は、何かの原因が隠されているかも知れません。
今回は、息切れの原因や息切れが起こりやすい疾患や症状について、詳しくご説明します。
また、息切れ改善につながる歩行のポイントについても説明しますので、息切れで困っている方や身近に息切れで困っている人がいる方は是非こちらの記事を参考にしてください。
息切れの原因とメカニズム
息切れを一言で説明すると、呼吸が苦しいと感じる状態を言います。
しかし、息苦しさを感知するメカニズムについては、まだはっきりと解明されていないのが現状です。
また、息切れと言っても以下のようにいろいろな状況が考えられます。
- ・息がつまる
- ・胸が圧迫される
- ・呼吸が重い
- ・呼吸が浅い
- ・呼吸が早い
など
なお、息切れ自体は病気ではありません。
しかし、何らかの原因で体全体に酸素がうまく行き届いていない場合に、息切れが現れてしまいます。
息切れが起こりやすい疾患や症状
次に、息切れが起こりやすい疾患や症状についてご説明します。
なお、一時的な息切れと慢性的に起こる息切れでは疑われる病気は異なります。
特に、気をつけておきたい慢性的に息切れが起こる場合に考えられる病気についてご紹介します。
- ・心臓病
- ・気管支喘息
- ・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- ・間質性肺炎
- ・気胸
- ・不安神経症
- ・パニック障害
など
特に、上記のなかでも「慢性閉塞性肺疾患」と「間質性肺炎」は慢性的な息切れ発症の代表的な原因になります。
両者の疾患について詳しく見ていきましょう。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の生活習慣病と言われています。
肺の機能が低下し、咳や痰が増えて息切れが続く症状が現れます。
特に、喫煙と深い関係がある疾患です。
坂道や階段など上り下りする動きの際に息切れを感じる人で、10年以上喫煙している場合は、COPDが疑われます。
間質性肺炎
間質性肺炎は、関節リウマチなどが原因で肺胞の壁の中や周辺に炎症が起こり、細胞やコラーゲンなどが増加することで、壁が厚く硬くなり(線維化)ガス交換がうまくできなくなる病気です。
安静時に問題がなくても、歩行や階段昇降時など運動時に息切れを感じてしまう特徴的な症状があります。
息切れ対処法につながる歩行ポイント
息切れが頻繁に起きる人にとっては、外出をして歩くことが不安になることもあるでしょう。
しかし、息切れを気にするあまり、家に閉じ込もってしまうと、足腰が弱まるばかりか、気持ちも落ち込んでしまいます。
そのため、歩行により全身の筋肉向上や心肺機能の改善を行い、少しずつ息切れの症状改善を目指していきましょう。
また、あくまで歩行の目的は速く歩くことではなく、安全かつ楽にどれだけ長く歩けるかになります。
そのため、下記のようなことを意識しながら歩行を行いましょう。
- ・掛け声をしながら呼吸のリズムと歩調を合わせる
- ・腹式呼吸を意識して歩行する
- ・吐くことに意識を置いて歩行する
それぞれのポイントについて説明していきます。
掛け声をしながら呼吸のリズムと歩調を合わせる
呼吸のリズムと歩調を合わせて歩くことは、歩行バランスが安定することにつながり、息切れ改善に効果的です。
また、呼吸のリズムと歩調を合わせて歩くためには、掛け声をしながら歩くことが良いでしょう。
掛け声と歩行バランスの関係については、ある調査で実証されています。
調査とは、歩行が不安定と判断された人に対して、自らが最も歩きやすいと感じるリズムで掛け声をしながら歩行を行いました。
すると、掛け声をしながら歩行した方が、歩行バランスが安定するという結果が得られたのです。
そのため、掛け声を活用しながら呼吸と歩調を合わせて歩くことは、息切れ改善の一つの手段として有効と考えられます。
腹式呼吸を意識して歩行する
特に慢性呼吸不全の人は、呼吸機能に関係する横隔膜の働きが弱くなっていることがあります。
横隔膜の働きが弱くなることで、腹式呼吸よりも胸式呼吸になりやすく、浅い呼吸が習慣化されてしまいます。
腹式呼吸のメリットは、弱っている横隔膜の働きを回復させて、効率良く酸素を取り入れることです。
歩行の際は、お腹を中心に横隔膜を大きく動かすことを意識して、楽な呼吸を目指しましょう。
吐くことに意識を置いて歩行する
呼吸と言うと酸素をたくさん取り入れるために吸うことに意識を置く人も居ますが、大事なことは息を吐くことです。
息を吐くことで関連してくるのが「機能的残気量」になります。
機能的残気量とは、普通に呼吸しているときの残気量を言います。
加齢などで呼吸筋が衰えてしまい、十分な排気ができなくなると、機能的残気量が増えていきます。
機能的残気量が増えてしまうと、肺の中に余分な空気がたくさん残った状態になり、新鮮な空気が取り込めなくなります。
そこで、息をしっかり吐くことで機能的残気量を減らしていき、安定した呼吸につなげていきましょう。
歩行の息切れ解消!?呼吸リハビリテーションについて
現在は、各医療機関において呼吸に対するリハビリが充実しています。
特に、慢性呼吸不全など息切れで困る方の強い味方になるのが「歩行リハビリテーション」です。
そこで次に、息切れ改善に効果的な歩行リハビリテーションについてご紹介します。
呼吸リハビリテーションの目的は「息苦しさの軽減」と「体力面の強化」を図ることで、QOLを向上していくことです。
具体的には、以下のような内容に重点を置いてリハビリを行います。
- ・呼吸に関わる筋力の向上
- ・足腰の筋力強化
- ・筋肉の柔軟性保持・改善
また、呼吸リハビリテーションの主な方法は下記の3つになります。
- ・正しい呼吸法の取得
- ・排痰法
- ・運動療法
上記の方法を総合的に合わせることで、息切れ解消の効果を高めていきます。
また、自主トレーニングも行い習慣化することでより効果的になりますので下記の運動を参考にして運動を習慣にしていきましょう。
※体操は1分50秒あたりからです。
引用元:安らぎ呼吸プロジェクト ドクター本間の呼吸筋ストレッチ体操
まとめ
今回は「息切れ改善につながる歩行ポイントとは!?」について説明しました。
息切れが起こる際の歩行状況の変化を把握することは、息切れ改善にとって重要な要素になります。
また、歩行状況の変化を正確に把握するには歩行バランスやリズム、推進力を総合的に評価できる数値測定が求められます。
そこで、歩行の際の評価・分析が正確に測定できるデバイスが、AYUMI EYEです。
AYUMI EYEは、歩行評価や分析に大切な「推進力」「バランス」「リズム」の3点を正確に見える化できます。
ぜひ、AYUMI EYEで歩行の評価・分析(紹介動画はこちら)に役立てていきながら、今よりも楽な呼吸ができる歩行を目指していきましょう。
(参考資料)
息切れの評価法
呼吸リハビリテーションの目的と効果|正しい呼吸法でQOL向上を
「呼吸筋」を鍛えて「良い呼吸」を手に入れよう
慢性呼吸不全のリハビリテーション
健常な成人における歩行中の掛け声と歩行リズムの関係
息苦しさを和らげる日常の動作
歩行解析デバイスAYUMI EYEで歩行分析
AYUMI EYEはご利用者様の腰に専用ベルトを用いて装着し、10m歩くだけで評価を行うことが可能です。
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測定者の評価の効率が上がるとともに、ご利用者様にもその場で結果を共有できるため、歩行の改善や歩行補助具の選定があっているのか、互いに確認することができます。
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