看護師からみた転倒のリスク因子と予防の重要性

はじめに:高齢者の健康寿命を延ばすために

日本は世界一の長寿国であり、今後も急速に高齢化が進行することが予測されています。

超高齢化社会の中で、高齢者においてもQOL(生活の質)を維持し、健康で自立した生活をおくることが、高齢者の暮らしだけでなく、社会を豊かにする上で重要となります。

全ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を目指して「健康日本21」が掲げられ、さらに新たな健康課題や社会背景を踏まえて平成25年度より「健康日本21(第2次)」がスタートしています。

単に長寿であるだけでなく、健康寿命を延ばすことが課題となる中、日本は欧米と比較して寝たきりなどの介護を要する期間が長いことが国連の世界保健期間(WHO)より指摘されています。

厚生労働省の2019年国民生活基礎調査によると、要介護者において介護が必要になった主な原因は「認知症」、「脳血管疾患(脳卒中)」、「骨折・転倒」が上位3位を占めました。

中でも、転倒による大腿骨頸部骨折は高齢者を寝たきりにする要因として良く知られており、健康寿命を延ばすためには「骨折・転倒」を予防することが重要な策のひとつになります。

転倒の予防とリスク因子

医療福祉施設では、転倒を予防するために、患者ごとに転倒リスク因子をチェックして個別の介入方法を検討します。

転倒リスク因子は、患者の全身状態に応じて日々変化するため、その都度転倒リスクを評価し直す必要があります。

転倒リスク因子のチェックには、アセスメントスコアシートなどのツールが用いられます。

一般的に本人の特性に関連する内的要因と環境などの外的要因に大別される項目によってスクリーニングが行われます。

内的要因には、認知障害、視力障害、感覚障害、筋力低下、バランス障害、薬剤、めまい、起立性低血圧などがあり、外的要因には、コード類などの障害物、滑りやすい床、段差、暗い照明、不適切な靴や衣類などが挙げられます。内的要因と外的要因が重なることでさらに転倒を発生しやすくします。

転倒リスクの内的要因には、様々な疾患が関連します。 例えば、白内障、緑内障では視力障害を、脊柱管狭窄症、変形性関節症、関節リウマチでは疼痛・関節の可動域制限・筋力低下を、脳血管障害、パーキンソン病では運動障害・バランス障害を伴います。

脳血管障害においては、反側空間無視、注意障害、痴呆などの高次脳機能障害をきたす場合もあり、原因疾患によっても複数の内的要因が考慮されます。

転倒予防の現状と課題

医療福祉施設などにおいて、多種多様の転倒に関するアセスメントツールが普及していますが、一方で各施設で使用しているアセスメントツールが、どの程度エビデンスに基づいているかは不明です。

また、看護師のアセスメント能力や、現場の人手不足・業務過多などの労働条件によって、転倒に関するアセスメントツールが適切に活用できていない場合もあります。

現状では、各施設の組織体制やマネジメントに依存してしまう部分もあり、転倒リスクに関するアセスメントツールの活用における有用性を一概に評価することは難しいです。


まとめ:転倒予防の重要性

高齢者における転倒は、その後のADLやQOLに重大な影響を及ぼし、予後を不良にしてしまう恐れがあります。

転倒を予防することは、高齢者が要介護状態になることを回避するだけでなく、介護者の負担を軽減したり、医療費の抑制にもつながったりと、超高齢者社会に突入した日本において医療福祉政策上も極めて重要であるといえます。

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